検索窓
今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:24,221 hit

14 ページ35

.


 ホーム





 朝起きると目の前に厚い胸板と、少しだけ視線を上に上げると少しだけ生えた髭が見える。
それがなんだが面白くて、くすりと笑うのが密かなワタシの1日の始まりだ。

 昨夜はアタシの家に泊まった悠岐さんのために、とびっきりの朝食を作ってあげよう。



 好きな人と同じ家で過ごせる事がこんなに嬉しいなんて、知らなかったわ。









 Aの家のベッドは広い。俺の家のものより広いし、まず家もいいところに住んじょる。一人暮らしが長かった俺は家にこだわりがなく、どうせ帰って寝るだけの場所やと思ってたから。
 俺と正反対にAの家にはこだわりがある。日あたりの良さや、間取り。その他にも、セキュリティから治安の良さ、近所にあるお気に入りのスーパーやケーキ屋。

 でも、最近は誰かさんの影響もあって考えが変わって来た。誰かと同じ家に帰る楽しさと、誰かが家にいる嬉しさを知ってしまった。まぁ、誰かじゃなくて、Aじゃないといかんけどな!

 「んぅ…A?」

 目が覚めると昨晩腕の中に閉じ込めた恋人がいなかった。のそのそと起き上がりリビングへの扉を開ける。Aはいつだって、俺より少し早く起きて――。



 『悠岐さん、おはよう』



 エプロン姿で美味しい食事を用意して待っていてくれるのだ。

 エプロン姿で(ここ大事)。カウンター越しに笑いかけてくれる姿が眩しい。

 「Aー」

 『ふふ、くすぐったいわ』

 引き寄せられるようにAの後ろに周り、その身体を抱きしめた。同じシャンプーを使ってるのに、Aは甘すぎない花の匂いがする。つむじに鼻を埋め堪能すると、やっと目が冴えてきた。

 「うーん、やっぱりこれがなきゃ無理やー」

 『え?』

 「お泊まりせんかった日は調子が悪いけぇ」

 俺は身体を抱きしめながら、いやいやと首を振る。もうそろそろ――。



 「一緒、住みませんか」



 一瞬の間を置いてAが笑い出した。その身をくるりと器用に動かし、俺に抱きついてくる。
ぎゃ!! かわええ!!

 『ふふ、なんで敬語なのよ』

 「緊張してんもん! もぉ! 笑わんで!」



 『ふふ、よろしくお願いします』



 頬を染めながら俺を見上げるAは、やっぱり言葉に表せないくらい可愛かった。

 『今度のオフに引っ越ししましょうか』

 「入ったらすぐ!」

 『ふふ、すぐね』



 「『素敵な家にしよう』」重なった言葉に笑みが溢れた。

15→←13



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
117人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ペリー | 作成日時:2020年8月5日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。