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ソフトバンクホークス対日本ハムファイターズの試合は一勝一敗で終えた。試合終了後両チームの何人かで食事に行くこととなり、酒も混じった此の夕食会ではメンバー達も楽しそうに過ごしていた。
杉谷とヴィルキンスは二人で夜風に当たりながら中の様子を見て楽しんでいた。
その後、杉谷の扱いは相変わらずであるが、愛されてる、可愛がられてるという点を踏まえての行動なのでヴィルキンスも嫌々容認したのだった。
『それで?』
「え? それでって?」
『返事よ返事! 告白の!!』
告白、その言葉に杉谷の顔が酒以外によって赤く染まった。
「ま、まだだよ!」
『ふーん……めちゃくちゃ焦らしてやりなさい! それ相当の報いよ!』
ふんっと鼻を鳴らすヴィルキンスに杉谷も思わず笑った。昔から自分の後ろをついて回った可愛らしい少年は、いつの間にか自分の背丈を超え益々頼もしく成長していたと杉谷は感慨深くなった。
「そんな苛めないでくれん?」
いつの間にか西川があの賑わいの中から抜け出して近寄ってきていた。ヴィルキンスも抜け目のない此の男の行動に慣れたのか呆れたような視線を寄越す。
『自業自得よ』
「手厳しいな」
『ふんっ』
二人のやり取りに思わず杉谷は笑った。その表情はどこか嬉しそうで、ヴィルキンスも西川も互いに目配せして困ったように溜息をつくのだった。
『アタシ、中に戻るわ。二人はゆっくりしなさいよ』
「急になんなんお前……怖いんやけど」
失礼ね、とヴィルキンスは扉に手をかける。ふいに西川を振り返り真剣な眼差しで見つめた。
『次、ケンちゃんを悲しませたら、二度と近寄らせないから。どれだけ泣いて縋ったって会わせないし、気をつけることね』
そう告げると、ピシャリとドアを閉めて中に入っていくヴィルキンス。杉谷と西川はその後ろ姿を眺めるしかなかった。ヴィルキンスならやりかねないからだ。
「……拳士さんの幼馴染み、怖すぎません?」
「俺も同じこと思った……」
柳田に抱きつかれながら楽しそうに笑う幼馴染みの姿を、二人はしばらく眺めるのだった。
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作者名:ペリー | 作成日時:2020年8月5日 2時