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 試合終了後、ヴィルキンスは中村、柳田と共に日ハム側へと来ていた。一応、試合前の揉め事について謝罪しに来たのだ。

 『なんで、アタシが……負けた方が謝ればいいのよ』

 「こーら。ヴィルがあんな爆弾発言したんだから建前でも謝らないと」

 「そそ! 建前でも良いけん、ちゃちゃっと終わらせて飯ば行こう!」

 はぁ、と溜息をつきながらも目の前の扉をノックする。中から返事があった為、そのまま扉を開いた。

 「あ! A!!」

 真っ先に迎えてくれたのは杉谷だった。大好きな幼馴染みの存在にヴィルキンスの表情も笑顔になる。試合前よりもどこか杉谷の表情が明るい。日ハムメンバーも何故だか杉谷を見る表情が柔らかかった。

 「どうしたの?」

 『いや、謝りに来たんだけど……』

 「え!? そんなの大丈夫だよ! 誰も気にしてないし! それに元々は俺が…」

 何かを言いかけた杉谷の口が後ろから塞がれた――西川だった。

 「は、遥輝」

 「……悪かった」

 思いもよらぬ西川の謝罪にヴィルキンス達も杉谷も後ろで見守っていた日ハムの選手達も目を丸くした。

 「確かに大人気ないことしてた…でも他の人も俺も拳士さんのこと蔑ろにしてやってるわけじゃないのはアンタらも拳士さんもわかって欲しい」

 此方はこちらで一件落着したようだ。どおりで試合に負けたにも関わらず表情が柔らかいわけね、とヴィルキンスは思った。
 西川の言葉に杉谷は少し目を○ませていた。中村達も安堵の表情を見せていたが、ヴィルキンスだけは何か嫌な気がしていた。

 「拳士さん。本当にすみませんでした」

 「い、いやいや! 頭上げてよ遥輝! 俺気にしてないから! ね?!」

 頭を下げる西川の肩を杉谷は優しく叩く。頭を上げた西川は杉谷の手をそっと握り込んだ。男前である西川は眉を下げる姿も男前と似合っていたが、どこか可愛らしさを含んでいた。

 「拳士さん優しすぎますよ……拳士さん俺」

 ヴィルキンスの顔色がどんどん悪くなってくる。

 「拳士さんに振り向いてもらえるようこれから頑張ります」

 あれ、と中村達も気付きヴィルキンスの顔を見る。



 「好きです、拳士さん。これからもアンタの隣に居させてください」



 ヴィルキンスは思わず幼馴染みの顔を見た。杉谷は頬を赤く染め、言葉にならない声を発していた。



 『っこのクソガキ――!!!』



 日ハムのロッカーからヴィルキンスの叫び声がこだました。

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作者名:ペリー | 作成日時:2020年8月5日 2時

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