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『近ちゃん!』



 謎の美女はスッと俺の横を通り過ぎると、近ちゃんに駆け寄った。え、近ちゃ?え、どうゆうこと?!

「お疲れ様。何食べ行く?」

 他のメンバーも目を点にして近ちゃんと美女を見つめる。そんな俺らに気づかない二人はさっさと此の場を後にしようとしていた。

「こ、近ちゃん?!待って待って!」

「うわ!ビックリした!!何すかー?」

「その子誰?!そんな美女いた?!」

 ナイス拳士さん!!思わず全員が拳士さんにグッと親指を立てた。近ちゃんと美女は互いに見つめ合う。



「やだ、教えない」









 それから数日後ーーーあの日は、あの場で全員解散となった。俺もあの子をお持ち帰りしようなんていう気分にならなかった。

 誰に聞いても知らぬ存ぜぬ、謎の美女。

「ほらこっちこっちー」

 近ちゃんがB☆Bを連れてバッターボックスに入り、監督やコーチ達も面白がって近寄ってくる。他のメンバーも面白そうに見つめる中、

 カキーン、スタッフが投げた球を軽々スタンドに飛ばした。思わず全員が目を見開く。その次も、またその次も。

 え、ぇえええ。B☆Bスタメンにした方がええんちゃう?

「ちょ、嘘だろ!それ球ちゃんと見えてんのか?」

 矢野さんがバッターボックスから出てきたB☆Bの頭をポスポス叩き、B☆Bはグッと親指を立てる。

「ちょっと貸して、貸して」

 近ちゃんが近寄り、B☆Bに手を差し出す。すると、B☆Bが頭の部分をグッと引っ張り、スポン、と脱いだ。



『はい、ちょっと慣れるの大変かもだけど』



 あの美女がそこにいた。









 「まさか、B☆Bの中の人があんな美女だとは」

 ベンチは先ほどからB☆Bの話題で持ちきりである。みんなのジトりとした視線が近ちゃんに向けられた。

「Aは俺の幼馴染みで、アメリカでチアガールしてたんですよ。B☆Bの前任が怪我したもんだから帰国してたAにお願いしたら簡単にオッケーもらっちゃって」

「いや、なんでチアじゃなくてマスコット!」

「1人だけずば抜けたチアガールなんて変に浮くでしょー?それにあのルックスだし」

 た、確かに。近ちゃんのまっとうな答えに全員頷くしかなかった。



「あ、言っとくけど。Aはチャラついた男大嫌いだからね」



 全員の目が俺に注がれる。

 はい、めちゃくちゃどタイプです。ずっとトキメキが止まりません。運命の人、逃したくないです。



 漢、西川遥輝。チャラ男卒業します!!!








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作者名:ペリー | 作成日時:2020年9月3日 5時

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