G9：軟禁される彼女３ ページ30
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さしずめ、現代の源氏物語だなぁ。
ブルペンでは楽しそうに、Aが菅野とキャッチボールをしていた。ショートパンツから覗く細長い足が眩しい、ブルペンにいたメンツは心で手を合わせるのだった。
「Aちゃんって、いつから巨人ファンなの？」
唐突にそう尋ねたのは、２人のキャッチボールを炭谷と共に側で見ていた小林だった。
『んー、かれこれ17年経つのかなぁ？ 幼稚園の頃から！』
「え、長っ！」
菅野は一度キャッチボールを止め、水分を摂るようにとペットボトルをAに差し出す。
「え、じゃあその頃から亀さんと知り合いなの？」
『そうだねぇ、うん。ずっと亀さんだね』
照れたように頬を染めるAに思わず、炭谷は頭を撫でる。
「小さい頃のAちゃん、絶対可愛いよね」
「写真ないの？ 写真！」
Aは、うーん、と考える。そうして、脳裏にとある人物が浮かんだ。
『あ、でも。亀さん持ってるかも！あと、内海さん』
「Aちゃん内海さんとめちゃくちゃ仲良いもんね」
『うん！ 内海さん好きー』
「俺LINEで聞いてみよ！」
埼玉に行ってしまったが、今でも内海も交えて３人でご飯を食べるほど仲が良かったりする。Aの幼い頃から知ってる数少ない１人であり、だからこそ猫可愛がりしてるのである。
「Aー」
『あ！ 亀さん』
「お疲れ様でーす」
「お疲れ。そろそろ上戻らんと」
Aは亀井から差し出された手をキュッと握った。
『ありがとうございました！ 試合頑張ってね！』
「ちゃんと見とけよー？ ホームラン打つからなー」
「僕はホームラン無理だけど手振るから、ちゃんと振り返してね」
「いや、誠司も頑張れよ」
くすくす、と笑うAの頭を交互に撫でていく。亀井に手を引かれながら手を振るAを見届け、勝とう、と心に火を灯すのだった。
「あ、内海さんからLINE返ってきた！ ……うわ！ 昔からめちゃくちゃ可愛い」
「どれど……いや、天使」
「内海さんどんだけ写真持ってんの」
内海から送られてきた幼い頃のAの写真にブルペンは賑わっていた。内海とのツーショットもあれば、亀井とのツーショットもある。
「この頃から囲ってたの？」
「………国語でそんな物語習わなかったか？」
「あー、光源氏？」
思わず3人は、現代の源氏物語みたいだなぁ、と心で呟いたのであった。
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作者名：ペリー | 作成日時：2020年9月3日 5時
