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 「古参ちゃーん!」

 あぁ、前方から天使が走ってくる。携帯を素早く取り出し、ビデオモードにする。

「え?え?動画?それ動画?」

 あまりの可愛さに口元を手で覆い、無言で頷く。

「どぉもぉ、北のスギノールでぇす」

 う、ウィンク付きだと!?なんとか停止ボタンを押した私は悦に浸る。



「……拳士」

「晃さん!ちわっす!え、何?俺なんかした?」

『い、いえ!杉谷選手今日も元気いっぱいで何よりです!』

 「えへへ」と、こんなにも照れ笑いが可愛いアラサーを私は知らない。帝京高校の二人が目の前にいるとなれば、私のシャッターを押す手は止まらない。

「……撮りすぎじゃないかな?!」

「なんか前よりレベルアップしてるよね」

 ついにはレンズを覆われてしまった。

『この3年間、我慢して我慢して我慢しまくった結果です』

「あー!Aちゃん、俺も!俺も撮ってぇ!」

 目の前でポーズを決めてくれる柳田選手。私のシャッターを押す指に力が入る。

『か、カッコいい!!うわぁ!色気がすごいです!』

「そぉかのぉ?Aちゃんに褒められると照れるのぉ」

「見せて!」柳田選手がカメラを覗き込んで、今しがた撮った写真を確認する。カメラを首から下げている為、必然的に距離が近い。

 ぁああああ!無理ぃいいい!!近い!近すぎる!柳田選手、めちゃくちゃ良い匂いする!!



「なんじゃあ?顔を赤うして。可愛いのぉ。食べとうなるけぇ、禁止じゃ」



 柳田選手が耳元で囁いてくるが、そのセクシーヴォイスに私の耳は孕みそうだ。いや、絶対孕んだ。声に集中しすぎたせいで、柳田選手がなんて言っていたのか分からないが、柳田選手はくしゃりと笑うと私の両頬を押しつぶしてくる。





「……ギータもう行くよ。A、先帰らないでね」



 え?!ご飯行くの本当だったんですか?!え?!私の戸惑いを知ってか知らずか、中村選手は柳田選手を引き連れてベンチに戻っていく。

 中村選手の後ろで「なんじゃ?!晃、さっきのどういう意味じゃ?!それに呼び捨てしちょったじゃろ!!」と叫んでいた。





「……ほら、遥輝。おれらも戻るよ」

「はぁい。Aちゃん、中村さんと2人っきりで出かけちゃダメだからね」

「約束」と西川選手は私の小指に自身の小指を無理矢理絡めて、自身のベンチへ戻っていった。









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(おまけ)→←逆ハー:スポーツカメラマンな彼女3



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作者名:ペリー | 作成日時:2020年9月3日 5時

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