噂の恋人 (ページ2)

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Sh7：料理人な彼女１ページ2

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　ミスター打撃職人こと、中村晃には浮ついた話が一つもない。それは彼がホークスに入団した頃から今もなお続いている。女性がいる食事会に誘われても参加しようとする素振りも見せず、来たと思ったら早々に帰るのだ。そんな謎に包まれた中村の女性関係を暴こうと、誰しもが虎視眈々とその機会を狙っている。

　しかし、それは突然暴かれる事となった。

鷹の打撃職人の秘密

　福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐はここ最近ずっと、もしかしたら数年前からかもしれないが、時折消化不良を起こしているのかと紛う表情を浮かべる事が多々あった。

　それは決まって中村に向けられた表情である。

　ロッカールームでみんなが思い思いに過ごしていると、中村は時折誰かに電話をかけにロッカールームから出て行くことがあった。それに気づいたメンバー達が女かと囃し立てるが中村は依然として詳細を告げることがなかった。中村と親友関係にある柳田にも教えることがないため、柳田としては非常に面白くなかった。

　そんなある日、いつもの朝、いつもの日常。ただ新聞の一面記事だけが、いつもと違った。

鷹の打撃職人、ついに!?深夜の密会! 高級ホテルでの逢瀬か!?

　【昨晩、某高級ホテルに一台の高級車が現れた。運転席から現れたのは、福岡ソフトバンクホークス所属の中村晃選手である。中村選手は運転席から降りると助手席に回り、女性をエスコートした。サングラスとキャップで顔は隠されていたが美女だと分かるその風貌に当方も呆然としてしまった。中村選手は慣れた様にボーイに車のキーを渡すと、二人は仲睦まじく手を繋ぎホテルの中へと消えていった。翌日デイゲームの為、中村選手は自身の愛車で球場へと向かい、女性がその日ホテルから出る姿は確認できなかった】

　「な、なんじゃこりゃぁああ！！！」

　その後の柳田の動きは早かった。急いで支度を整えると、いつもよりだいぶ早く球場へと向かったのだ。
　柳田がロッカールームへ入ると、既に何人かが到着していた。いつもゆっくり来るメンツも其処にはいた。どうやら皆、考えることは同じらしい。

　ガチャ、ロッカールームのドアが開き、家中の人物が登場した。

　「晃ー！」

　「うわっ、何？朝から元気だねー」

　「なんだよ、この記事！」

　柳田の突き出した新聞を横目に、中村は黙々と荷物を自身のロッカーに突っ込んだ。

　「そのまんまだよ」