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「………」
「………」
全員が固唾を飲み込み、息の音さえも聞こえない静寂の中
高音を出し終わった僕はゆっくりとマイクを下へ下ろした
『はあ…はあ…』
暫く余韻から抜け出せない僕は、ようやく終わらない静寂に気づき前を向き直す
『……お、終わりました…?』
そう告げるとマスターさんたちが総立ち上がりで拍手をする
それに釣られるかのように練習生たちがスタンディングオーベーションを始める
「ブラボ〜!!!」
「ヤーー…………圧巻とはこのこと!」
「まだ余韻が残ってるよ…!」
「…………あんまりこう言う褒め方をしたくないけど、本当に天才だと思ったよ」
「本当に素晴らしいステージでした」
「最後の高音まですごく綺麗でしたね!」
「まるで転んでへたり込んでた子とは思えない!」
「ははははっ!!」
『う………』
高評価を得られたかと思えばすぐに掘り返されて思わず顰めっ面をする
「はははㅋㅋㅋ
でも本当にステージは素晴らしかったよ」
「音程も外れてなかったし、何より高音がとても聴きやすくてびっくりした」
「自作のダンスもすごくマッチしてた」
「うんうん。歌声がとても澄み渡っていて、きっと会場の中でも涙ぐんだ子は多いんじゃないかな」
そう話すハンビョルさんが練習生達の方を振り返れば、涙ぐむ練習生がかなりの数いたことに驚く
「あいぐ〜……みんな泣いてるわ」
「圧倒的な歌はやっぱり人の心を動かすね」
「いや〜よく今までデビューしなかったね」
「逆に不思議よね」
「本当はデビューしてた?」
『し、してないです』
「ふふ、冗談♡」
大人たちの冗談をまだうまく交わせない自分はまだ子供なのだと痛感した
マスターさんたちの話し合いにはいつ入るのかとそわそわしているとヨンジュンさんとパチっと目が合う
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作者名:えのもと | 作成日時:2023年3月19日 14時