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一気に眠気は飛んでいってしまったみたいで
亮平の目はぱっちり開いていた。
無理に寝かせてパニックを起こしてしまうと良くないし
かと言って寝れない状態が続いてももちろん身体に良くないから
なんとかしていつも通りに戻してやりたくて。
「亮平、俺とお話ししよっか」
解決の糸口を探すためにも
まずは現状把握でしょ。
「なに？」
「えっ、あ、んーと、」
意気込んで話を切り出したものの
何から言えばいいのか分からない。
自分で言うのも何だけど
俺口下手なんだった。
「俺が、辰哉兄ちゃんに怒られた話、？」
「あ、そう、それなんだけど…朝からしんどかったんでしょ」
「ん…でも、そんな大したことじゃなかったから」
どうしようかと逡巡していれば
亮平の方から話し始めてくれた。
さすがうちの頭脳派。
「でも洗濯物ぐらい俺やったのに」
「んー、蓮たち、早く行きたそうだったし」
なんとかなるって思ってたし？
なんて言う弟の顔はどこか悔しさが滲んでいた。
「ねえ亮平、我慢は良くないよっていっつも言われてるじゃん？」
「…っ、ごめんなさい、」
「あー違う違う、俺は怒ってんじゃないの」
あっぶね、俺まで拒絶されるとこだった。
「ね、なんで俺らわざわざしんどくなる方向にしか行かないのかな」
俺が側にいる意味。
俺が亮平にできること。
それは近しいもの同士寄り添ってあげること。
そう思って優しく聞き出せば
ぽつり、ぽつりと気持ちを吐き出してくれた。
「しんどいことを、理由にしたく、なかったの…」
「そうやって、すぐに、みんなに甘えて、っ、」
だけど思っているよりも遥かに亮平は
俺よりも沢山のことをその良い頭で考えていたのだ。
「おれ、おれ、やだったの…っ、じぶんの弱さが、いや、だった」
「もういい、ごめん、ごめんな」
いっぱいいっぱいになった亮平を思いっきり抱きしめれば
堰を切ったように涙が流れ出した。
「お、れが、っ、わるいのは、…わかってるっ、から…」
「そんなことない、亮平は頑張ってるよ」
誰よりも我慢強くて兄弟想いで
人一倍強がりで優しくて
それでいていつも頑張りすぎちゃう亮平をみんな知ってるから。
「辰哉兄ちゃんも、今頃反省してるよ」
「、っふ……ん、」
その涙が渇くまでそばに居てやるから。
「大丈夫だから、な？」
だから早くまたみんなで笑い合える日が来ますように。
『兄は影になり日向になり』 fin.
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七星 様リクエストありがとうございました！
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呉葉(プロフ) - ききさん» ききさんに作品を知っていて頂けたこと、とても光栄です。まさか読んで頂けていたとは…。こちらこそいつもありがとうございます！ このご時世ですので、どうかお体に気をつけてお過ごし下さい。 (2020年6月7日 14時) (
レス) id: 676d38c831 (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - 呉葉さん» 「深澤家の兄弟」の作者様ではないですか…！いつも楽しみに読ませていただいてます。書くたびに試行錯誤していたのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。また楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2020年6月7日 14時) (レス) id: e52f10bd3d (このIDを非表示/違反報告)
呉葉(プロフ) - 完結おめでとうございます。いつも更新を心待ちにして拝見しておりました。設定やタイトル、心情表現などどれも素敵で読み返して何度も楽しませて頂きました。またどこかでききさんのお話に巡り会えることを楽しみにしたいと思います。お疲れ様でした。 (2020年6月6日 18時) (レス) id: 676d38c831 (このIDを非表示/違反報告)
緑茶.(プロフ) - ききさん» 読んで頂いてたのですか！！？まさかすぎてビックリしました…こちらこそ大好きな作者様に言っていただけて光栄です(><)家宝にします！！← (2020年6月6日 18時) (レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - 緑茶.さん» 緑茶.さん？まさか、と思って見たらそのまさかでした。「道化師の瞳」「約束のしおり」をずっと読ませていただいてて、「Snow短編集」もいつも楽しみにしてます！そんな好きな作者の方にこうやって言っていただけるのは嬉しい限りです。本当にありがとうございます！ (2020年6月6日 0時) (レス) id: e52f10bd3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きき | 作成日時：2020年5月5日 13時
