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「みんな何してんの…」

双子の片割れの呆れた声で目が覚める。

そういや昨日亮平の部屋でそのまま寝たんだっけ。

見るとすでに辰哉兄ちゃんは起きていて
まだ寝ている亮平の脇にそっと体温計を忍ばせていた。

「ほら、翔太も」

わざわざ俺の部屋から持ってきてくれたであろう体温計を渋々受け取る。

「まったく、風邪ひいても知らないからね」
「わかってるって」

なんて小言を軽く受け流す。

「照、大介、起きろ」
「…あと、ちょっと…」
「…仕事したくなーい」

その間にも辰哉兄ちゃんはまだ寝てる兄貴や弟を起こしている。
毎朝こんな様子なのか
長男も大変だなあ。


「はい、翔太異常なし、と」
「んー亮平熱出ちゃったかあ」

同じタイミングでなった体温計を見て
安堵する俺と険しい表情の辰哉兄ちゃん。
そのまま涼太は他の奴らを起こすために部屋を出て行った。

昨日の発作で疲れたんだろうな
とそっと亮平の頭を撫でればゆっくりと開く目。

「あ、起こした?」
「…おは、よ」

寝起きと熱とで目がトロンとなっている弟を見て
その場にいた全員の顔が綻ぶ。

いまこの状況の本人にとったら不謹慎かもしれないけど
ある時までは末っ子だった亮平を愛しく思う気持ちを
兄たちはみんな持っているのです。

「学校はお休みして、ちゃんと治そうね」

そう辰哉兄ちゃんが言えば
悔しそうな表情を浮かべながらも頷く亮平。

そんな弟を見て騒がしくなる奴らが。

「俺も仕事お休みして亮平といる!」
「お前は風邪ひいたこともほとんどないんだから無理だ」
「俺バイト休もうかな」
「安心しろ、俺と辰哉兄ちゃんで十分だよ」
「翔太兄ちゃんは何にもしないでしょ」
「なっ…!俺だってなあ!」
「いい加減準備してご飯食べて、遅れるよ」

うだうだと亮平の部屋に居続ける俺らに痺れを切らしたのか
涼太が勢い良くドアを開けて入ってきた。

滅多に怒らない涼太の気迫にびびったのか
大介兄ちゃんと照は何も言わず出て行く。

それを見て亮平は不安そうに俺らを見つめる。

「どした?涼太、亮平には怒ってないよ?」
「ううん、…しょーたにーちゃんたちも、いっちゃうの…?」

おっとこれは甘えん坊な亮平は健在だということなのか。
嬉しさでにやける顔を必死で抑えて亮平に訊ねてみる。

「ご飯、ここで一緒に食べようか?」
「…いいの?」

もちろんいいとも。

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yuki(プロフ) - リクエスト失礼します。翔太くんがストーカー被害にあい、心配をかけまいと誰にも相談できず、結果、体調を激しく悪化&怪我をしてしまう→涼太くんが助ける話をお願いします。 (2020年6月15日 1時) (レス) id: 3f1312ed68 (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - 桜餅さん» リクエストありがとうございます。阿部ちゃんメインのお話でよろしいでしょうか? (2020年4月25日 0時) (レス) id: c7b838e2cf (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - ありがとうございます。また書いて頂けると嬉しいです。 (2020年4月24日 7時) (レス) id: 137beba8ce (このIDを非表示/違反報告)
桜餅 - リクエスト失礼します!元々熱があって、弱っているところでさらに夜中に発作がでてしまい、苦しんでいるところにさっくんとふっかが飛び起きて駆けつけて看病する話がみたいです!文章下手ですいません…おねがいします! (2020年4月23日 14時) (レス) id: 0d1b3f2f8c (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - 翔太くんの小さい頃のエピソードが読みたいです。 (2020年4月10日 10時) (レス) id: 3ca86cd523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きき | 作成日時:2020年3月18日 22時

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