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「じゃ、籤引きだね。どういう順でやるンだい?」
籤に目をやりながら与謝野さんが問う。
すると国木田さんが
「籤を作った谷崎は、一応最後にするのが道理だろう」
成程、と賢治くんが頷く。
太宰は不思議そうに首をかしげ自分を指さした。
「私は?」
太宰はいつ引こうが思い通りの籤を引きそうだけどなぁと思いつつ太宰の問いに答えるであろう国木田さんをちらりと見る。
「お前は____あまりあとに引かせると、また善からぬ策謀を思いつかんとも限らん。最初に引け」
信用ないなあ、と太宰がぼやくが国木田さんの考えにみんな賛成のようだ。
みんな太宰の策謀で最悪な籤は引きたくないようだ。
太宰が籤を引き終わり興味津々といった様子で籤を開こうとした。
「まだ見るなよ」
国木田さんから静止がかかった。
「なんで?」
きょとんとした表情で国木田さんを見上げる太宰。
「肝心の配役がまだ決まっていないからな。先に貧乏籤を引く人間を確定させては不公平だろう?」
まるで太宰が貧乏籖を必ず引くかのような口調に思わず笑ってしまった。
「どうした?A」
国木田さんに聞かれたのでまるで太宰が貧乏籖を確実に引く前提の様な話口調だなぁと思って、と答えると国木田さんはこちらを向いたまま一瞬静止した。
ん?(困惑)
まさか...ね。
絶対に今の国木田さんの変化に太宰は気付いた筈だが気にしていないように口を開いた。
「道理だね。じゃあ最後に一斉に開こうか。」
そう言って笑顔で籤を握りしめた。
そしてその笑顔を保ったまま続けた。
「でも国木田君、私はちょうど思いついたのだよ。うってつけの試験内容___」
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