11-1 ページ37
独房エリアまで到達した私たちは
目的の場所へと息せき切って走っていた
行手を阻む建物の残骸を難なく突破するソーは、数十メートル先を行く
そして、一足早く独房までたどり着いた彼は
ソ「待て！！」
と、怒声を放って中へ突っ込んで行った
なんでかんで突っ込むことしかできないの？
彼への不満が鬱積しすぎて眉を顰める
そして、ようやく目的地へ到着した私は
中の様子を見て唖然とする
何故ならば、現在目の前には
見事、檻の中に閉じ込められた先ほどの彼が悔しそうに唇を噛み締めている様子が鮮明に見えている
ガラスにはヒビ、檻を支えるアームはすでに緩んでいて
非常に遺憾…いや、もはや哀憐の情を感じる
左側では、フィルとロキが対峙していた
フィルの手には兵器が抱えられ、すぐそばには敵の兵士が倒れていた
『ロキ、いい加減にして
兄弟喧嘩はもう終わり、そこを退いて』
すかさず私は、パネルに触れそうなロキの手を掴んで背中に回し
もう片方の腕も同時に拘束する
膝の裏を蹴り、跪くような体勢をとらせた
フィルはそれを見ると、銃口を構えながら
ロキにじりじりと詰め寄る
フィル「これいいだろう？
お前にいいようにやられた後開発したんだ
威力は未知数 見てみたいか？」
すると、急に手元が軽くなる感覚に陥った
そして
あまりに一瞬過ぎて何もかもが追いつかなかった
フィ「っうぐぁっ！」
ソ「よせえええ！！！！」
何かが肉を切り裂くような、潰し押し込むような嫌な音がしたと同時に
フィルの悲痛な叫びと
張り上げるようなソーの怒張声
フィルの左胸には杖が刺さっていて、後ろでそれを蔑むかのようなロキの目
そこからはまるでスローモーションのようだった
突き刺さった杖がロキによって引き抜かれ、同時にその場にフィルが倒れ込む
私は声なんて出なくて、周りも見えなくなって
ただ一心に、フィルの元へと必死に体を動かした
すぐ横をロキが何食わぬ顔で通り過ぎたのに
それに目を向ける余裕なんて勿論なくて
力なく壁によりかかるフィルに縋り付く
『フィル…っ、フィル…！』
やっと声が出たと思えば、彼の名前を呼ぶことしかできない
どくどくと止めどなく血が流れる彼の傷口を懸命に抑える
『いや…嫌よ、お願い…っ、死なないで…っ！
ニック！ニック…、フィルが…っ！』
フィ「…A… …」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 71人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
M-tAnt(プロフ) - Rubyさん» ありがとうございます泣 とても励みになります…これからも楽しんでいただけるよう努めます…！ (2020年9月20日 20時) (
レス) id: 9fb1a359d3 (このIDを非表示/違反報告)
Ruby(プロフ) - 続きが楽しみです！更新待ってます！ (2020年9月20日 12時) (レス) id: ccc02d9cf9 (このIDを非表示/違反報告)
M-tAnt(プロフ) - _krykhyhyさん» ありがとうございます 泣 何かと至らない作者ですが、そのお言葉で頑張れますT_T (2020年9月20日 10時) (レス) id: 9fb1a359d3 (このIDを非表示/違反報告)
_krykhyhy(プロフ) - お話好きです！更新楽しみにしてます！ (2020年9月20日 0時) (レス) id: bb966f0c42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：M-tAnt | 作成日時：2020年9月19日 8時
