百十三話 ページ39
｢またこれも純粋な悪魔の実では無いので少し違う所がありますが｣
『通常の悪魔の実の覚醒は「心身が能力に追いついた時」。
ピエピエの実には、それに追加の条件がありました。
実を食べて10年以上経っていること。
実を食べたのが10歳未満の女であること。
最後に、覇王色持ちであること。』
｢その条件を満たす者が長年現れなかったもので...2つ目のような事実とは違う言い伝えが残ってしまったようですね。
して、Aの体の変化はありましたか？
余が
条件を満たしている者とはいえ、ただの人間が天使の力を自由に使えると思いますか？｣
『1年前...体の変化といえば、疲れることが無くなった。
能力を使用すればその分体力を消耗する。
2年弱、体の強化に力を入れてきたとはいえど、
｢余の能力を使用するのに、代償は体力
似たような戦闘をしたロー君なら分かるのでは？｣
｢...命を削ることが、堕天使の能力を使う人間の代償か｣
｢...それでもAは仲間達を守りたかったのです｣
彼女は
自分を愛してくれた人達が消えていくのはもう見たくなかった。
この幸せを離したくなくて。
自分が強くなれば、彼らの平和が保たれる。
たとえ、自分を犠牲にしても。
守りたかった。
｢Aが余の能力を使用したことによって削られた命は少なくとも＿＿＿＿＿200年以上｣
｢...は？そんなんじゃ、何故Aは今ここに居る！？｣
命を削るというのは、ここでは寿命を削ることの意だった。
だが、ローが彼女の外見の変化に何の疑問も持たなかった。
つまりは、彼女は200年以上の寿命を削られているのにも関わらず、外見や体力に変化はなかったのだ。
昨日と変わらない、いつもの彼女。
海の地平線を遠くに眺めながら、ぽつぽつと話し始めた。
焦点の合わないぼんやりとした声は、彼らの知っている彼女ではなかったようだった。
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年11月3日 19時
