百七話 ページ33
No side
激戦を繰り広げた後の話＿＿＿＿
日が暮れる頃。
麦わらのルフィがドレスローザ元国王ドフラミンゴに打ち勝ち、カルタの丘の家で麦わらの一味、ハートの海賊団2名、ベラミー、家主のキュロスが休息と怪我の処置をしていた。
カルタの丘は、とても広い花畑が広がっていた。
Aは、他の者の怪我の処置の手伝いを終えたあとは家で休まず花畑にずっと座っていた。
花弁を運ぶ優しい風が吹く中、Aは考えていた。
彼女は昔、ドンキホーテファミリーに入っていた訳では無かったが、ほぼ同等の活動はしていた。
そこでこの世界の闇とある種の海賊というものを知った。
彼女にはドフラミンゴとファミリーと闘う理由がなかった。
それはルフィも同じことなのだが、彼はこの国の現状を知ってドフラミンゴをぶっ飛ばす、と発言していた。彼らしいと言ってしまえばそれはそれで納得出来るだろう。
Aは、自身で｢ドフラミンゴを討ちたい｣という理由が無かったのだ。
ローのように、本懐を遂げるために。
ルフィのように、この国の裏の腹を知り、怒りに近い感情が芽生え、自由を求めたために。
あの時の“怒り”は、自身のキャプテンの危機を直に肌で感じ、奥からズドンと込み上げたのが、Aの中に眠っていた“ベリアル”を呼び起こした。
ベリアルでなく、暴走化の自分が出てこなかったことがA自身不思議に思っていたが、確実な未だ答えが分かってない。
｢＿＿＿ここに居たのか｣
『あ...キャプテン。腕の方は？』
｢だいぶ良くなってきた。お前も軽傷とは言えない状態なんだ。少しは休め｣
『他のみんなより私は軽い方ですよ』
｢医者の言うことは聞け｣
『う...じゃあここ、座って下さい』
Aの我儘に彼は渋々と隣に腰を下ろす。
実を言うと、Aの容体は本人が言っているほど軽くはない。
ドフラミンゴの強い蹴りにより肋骨を数本骨折、また大事には至らなかったが折れた骨が内蔵に刺さり、内蔵に少さな傷を負った。
...そしてベリアルの出現の代償として、ハートの刺青が入っている所に火傷のような跡、右目の視力低下、左肘から手先まで軽度の感覚麻痺などがAの抱えたものだった。
『仇、取れましたね』
｢あァ、13年この為に生きてきた｣
『…少しいいですか。独り言なので気にしないで下さい』
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年11月3日 19時
