百六話 ページ32
誰が言ったか分からないが、船は出航し、黒かった空は青く広い空へと戻っていた。
宴の準備も終わったようで皆自分のジョッキを持って“大頭”の声を待っていた。
私とキャプテンは、彼は大頭では無いけど。
｢野郎どもー！ミンゴファミリーとの闘いは俺たちの...勝利だ〜！！！｣
『キャプテン』
｢あァ｣
一言交わし乾杯をした。
地平線が続く海と空の風景を眺め、ふと後方にあるドレスローザに目をやった。
昨日の出来事が走馬灯のように流れ込む。
『キャプテン...生きてて、良かった』
｢クルーより先に死ねるかよ｣
｢おい！コッチ来いよ！｣
｢やめろッ...｣
｢あ、どうぞ好きにしてやってくださーい｣
｢クソ、Aめ...｣
『いいじゃないですか、ウチの船じゃ宴なんてそうそうやらないですし！剣士さん、キャプテン結構飲めますよー！』
｢あら、船長に意地悪なのね？私たちはこっちで飲みましょ？｣
『ロビンさん！たまにはいいんです！』
＿＿...
＿＿＿＿＿＿＿＿
現在、ゴーイングルフィ(センパイ)号、天候晴、地平線に異常なし。
大きな宴を終えた私たちはバルトクラブの船に乗り継いだ。
この船は麦わらの一味リスペクトの海賊団。まぁ騒がしいわけだ。
｢バルトロメオ、とにかくゾウへ急げ｣
｢あ？おめェ誰に向かって...｣
『お願いね！』
｢はい！お任せくださいだっペ！野郎ども！ゾウに向かって全速前進だべ！｣
新聞を読んでいた剣士さんが声を上げた。どうやら懸賞金が上がったそうだ。
｢トラファルガーおめェのは捨てたが5億に上がってた｣
『え！捨て...た、の』
｢な、何か悪かったべ...？A先輩｣
『私が欲しいの！！』
｢そーだったんですかァ！至急取寄せますゥ！｣
｢...おいA｣
『はい？』
｢本物ならここに居るだろ｣
『...そりゃそうですけど』
｢写真だけじゃ足りねェか？｣
『あー私どれくらいに上がったんだろー』
｢A先輩のもおらの部屋にありますべ！どーぞどーぞ！｣
今、私が平静を保つことに必死なのは誰にもバレていないだろうか。
私は今、酷く緊張している。今日の朝から、ずっと。
その原因は昨日の激戦を終えたあとの時間まで遡る＿＿＿＿
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年11月3日 19時
