八十五話 ページ10
貴方side
止まった時からどれくらいが経ったのだろう。
何分？何時間？
それとも私は死んだのか？
ドフラミンゴにこう言われてから私の思考回路は止まった。
｢＿＿＿＿あの時、お前が答えなかった質問を今、もう一度ここで言う。
お前に“ハートの席”をやろう。3代目コラソンとして俺の右腕とならないか？｣
私は、迷うことの無いはずだった。
キャプテンを、
裏切るなんてことは絶対しない、と。
だが、ふと頭に過ぎったのだ。
そう決めて、一度ドフラミンゴを庇った。
が、その後私は彼らに牙を向くことは出来なかったのだ。
こんな所で
隙を見せる相手ほど、討ち取りやすいものはない。
こんな疑念を頭の中で巡らせていたのだ。
敵がいる状況で何をしているんだ、と冷静さを取り戻した私は、やっと視界が元に戻る。
居たはずの人達が居ないので辺りを見渡すと、
トレーボル、ドフラミンゴ、
そして右腕が切断され、痛がるキャプテン。
自分の目の前で何が起こったのか理解出来なかった。
私が立ち尽くしていると、ヤツらはキャプテンに更なる攻撃を与える。
やめろ
やめろ、やめろ
キャプテンに、手を出すな
＿＿＿＿＿＿＿＿｢余に任せよ｣
やっと開けた視界がまたぼやけて消えそうになり
まともに歩けているかも分からないまま
脳内に響き渡った声と共に私は、意識を手放した
＿＿＿＿＿＿
No side
｢A？良いのか？一応お前のキャプテンだったろう？｣
Aは、ローが撃たれてから天を仰ぎ目を瞑っていたが、少し間を開けて目を開く。
体をドフラミンゴに向けこう言った。
『はじめまして、ドンキホーテ・ドフラミンゴ』
｢...誰だ？｣
Aである筈だが彼女はドフラミンゴに初対面での挨拶をする。
Aと違うところは決定的に一つだけ。
瞳が乳白色のような色であることだった。
そんな彼女は、撃たれて倒れているローに視線をやり辛そうな目で呟く。
『...ロー君』
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年11月3日 19時
