百十五話 ページ41
｢あともうひとつ。
｢...は？｣
『ベリィが私の
｢分かってるってば｣
｢本当に大丈夫なのか？｣
『真水を触ってみても全然大丈夫でしたし、海に足首も入れてみたんですけど力が抜けたりとかは全く。久しぶりというより、不思議な感覚です』
そして、この船の船長であるバルトロメオがAに声を掛け、彼女は呼ばれた方へ向かって行った。
呼ばれた彼女はこの空間から居なくなり、世にも不思議な彼女と彼は2人きりに。
少しだけ、ここの空間が冷えたような気がした。
彼は彼女をよく知っている白い瞳の彼女に問うた。
｢...じゃあ、Aは能力を使えなくなったのか？｣
｢お、いいこと聞いてくれましたね。Aの中に余が入れば以前と同様に能力を使用出来ます。
余の影響による彼女の今の様態についてあとで彼女に聞いて下さい。
余の力を使わないようにはきつく叱りましたが...まァよろしく頼みましたよ、ロー君｣
見張ってろ、そんな感じで捉え、彼は絶対彼女を守る、とそう思った。
先程に比べると少しだけ騒がしくなった甲板。
常に話の中心に居る麦わらの一味がバルトロメオの部屋から出てきたところだったようだ。
一方Aは、現在この船の中で唯一の航海術を持っている人物ということもあり、皆に指示を出していた。
蜂蜜色の瞳を持つ彼は白い彼女を見やった後、深く帽子をかぶってしまい表情が伺えない。
静かな場所へ行きたかったのだろうか、愛刀の鬼哭を右手に持ち歩き出す。
すると、自由な太陽の男が彼の身体に、己の能力で巻きついた。
｢急に飛びついてくるなとどれだけ言えば...！｣
｢にししっ悪ィ！そんな事よりトラ男！フランキーがすんげェ発明品作ったんだってよ！｣
｢そうか。なら、この腕を離せ｣
｢トラ男も見るんだぞ！｣
｢は！？生憎俺はそんなモノ...ッ｣
｢ルフィ先輩、肉焼けましたけどお食べになりますかァー？｣
｢肉ゥ！？食いてェ！！｣
｢...麦わら屋ァ！！｣
どんなにも欲に従っている者も、苦労している者も、
彼らの上には、青く、広く、自由な空が
どこまでも続いていた＿＿＿＿＿＿＿＿
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作者名：つんてん | 作成日時：2022年11月3日 19時
