明日の天気は晴れですか？【特撮短編集】

･ ページ6

･

……恥ずかしい
上司としての威厳が今日一日で全て無くなっている気がする
恥ずかしさも相まって熱が上がってきたのかなんだか頭がぼーっとしてくる


そういえば看病されるなんていつぶりだろうか
懐かしいような少し擽ったいような感覚


「それじゃ、少し席外しますね」

「うん、ありがとう。行ってらっしゃい」

彼はぺこりと私にお辞儀してから背を向ける
私のために色々と動いてくれるのはありがたい

でもほんの少しだけ、視界が霞む中、熱のせいかなんなのか分からないが寂しさを覚えてしまった



そばにいて欲しいだなんてわがままかな







- - - - - - - - - - - - - - - - -




「っ！」

ぐいっと後ろに引っ張られる感覚


「何かありました…………か」

なにかもってきてほしいものでもあるのかと思い振り返って尋ねるがいっこうに返事が返ってこない

先輩は俺の服の袖を掴みながら瞳を閉じていた

なにか体に不調があったのかと思い慌てて呼吸を確認するが変わったところはないようだ
ほっと安堵の息をつき、部屋を出るため立ち上がる

ぐいっ

そうだ、この手への対処がまだなんだった
困ったことにこのままじゃ動くことが出来ないがかといってついさっき眠った病人を起こすほどのことでもない

先輩はいったいなんのために俺の服を掴んだんだろう


解決策を模索しながらも彼女の顔をじっとみつめる

可愛いと言うよりは綺麗と言われる部類である顔には似合わない隈がよく目立っている
最近は徹夜ばかりしているらしい。そろそろ本格的に彼女の体が心配になってくる


「……俺にもできることがあったら手伝いますよ」



そんなことを言うが俺はまだまだ彼女の実力には程遠いし、なによりお人好しの彼女は笑顔で遠慮するに決まっている



「いつか絶対まもれるぐらい強くなってみせますから｣



だからそれまで待っててください




ｶﾞﾀﾘ


物音がしてバッと振り返る

「あ〜えっと…お邪魔しました！！！」

「火野…………」


なにやらめんどくさい事になりそうな予感がする

はぁ…頭が痛くなってきた

止められない欲望 / アンク→←heat up / 後藤慎太郎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す