明日の天気は晴れですか？【特撮短編集】

終止符をうて / 浮世英寿 ページ22

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「今日から貴方は仮面ライダーです」
「はぁ……かめ、んライダー？」

突然目の前に現れた女の子に言われた言葉。

『仮面ライダー』

聞き馴染みのない言葉を復唱する。仮面をつけたライダーってこと？でもそれがいったいなんのことかはさっぱりわからない。そもそも目の前の可愛い女の子は一体誰なんだろう。こんな美人さんと出会っていたら忘れるはずはないんだけど。

頭の中がハテナで埋まっている私をよそに目の前の女の子は私へ強引に箱を手渡してくる。

「えっ、ちょ、ちょっと！」
「では、お呼び出しがあるまでもう暫くお待ちください」

ぺこり、と礼儀正しくお辞儀をして女の子は去っていってしまった。しまった、何も聞くことが出来なかった。つい条件反射で箱も受け取ってしまったし。何かもが謎のまま1人取り残される。

「あけてもいいのかな……」

恐る恐る中を開けるとなにかベルトのようなものと丸いチップ。これは、なんなんだろう。動物みたいなアイコンがちょっとだけかわいい。触っても……いいのかな。流石に触っただけで爆発はしないよね。

危ないものかもしれないという不安感よりも好奇心が勝ってしまい丸いチップへと手を伸ばし__触れた。



「……ッ」


頭が、ズキリと痛む。

なに、これ……頭の中に次々に流れ込んでくる記憶。ツムリ、ジャマト、バックル____仮面ライダー。


……そうだ、思い出した。

デザイアグランプリ。謎の敵であるジャマトの脅威から街の平和を守るため仮面ライダーになって戦う生き残りゲーム。そして、勝ち残った者は「デザ神」の称号と共に《理想の世界を叶える権利》が貰える。そのために命をかけて戦う、嘘みたいなホントの話。


私も確か仮面ライダーだったんだ。

さっきの女の子はツムリちゃんで、また私が参加者になったからIDコアを届けに来たんだろう。平和主義者の景和くん、反抗気味の道長くん、ムードメーカーな祢音ちゃん、個性豊かな子達がいたなぁ。

そういえば、前回のデザイアグランプリの優勝者って……


浮世、英寿。


脳裏に浮かんだその名前に思わずカバンを落としてしまった。

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