好きって言ってみた ページ6
『好きだよ』
隣にいるデンジ君にそう伝えると、その表情にパァと笑顔が浮かぶ。
デ「えっ、マジすか?!俺たち付き合っちゃいます?!」
半分以上冗談そうな口調で言ってくるから、ついからかいたくなってしまう。
机に膝を着いて、わざとらしく小悪魔な質問をする。
『でもマキマさんが好きなんだよね〜?』
デ「はい!!!………っあぁ、えっと」
『じゃあ付き合えないなあ…』
またわざとらしく眉を下げると慌てて彼が言葉を付け足す。
デ「でも俺、Aさんが好きです!!」
『マキマさんより〜?』
デ「は……いや、マキマさん…やっぱAさん…」
『デンジ君だけズルいな〜 私はデンジ君だけを好きなのに』
やっぱり、私なんてきっと眼中にないんだな〜
マキマさんはデンジ君にとって命の恩人で初恋の人…
私が入る隙なんて無かったんだ。
好き と言ったのはこの恋に終わりを告げる為。
言わない恋より言う恋だよ!
なんだか気持ちもスッキリしてるし、言って良かった。
この先彼はマキマさんしか夢中にならないのだから。
デ「……我儘かもしんないすけど、もう少し待っててほしいんです」
『ん?あ、良いんだよ あれは気にしないで』
デ「今はまだ想いがごっちゃになってて…」
真剣な眼差しの彼に目が泳ぐ。
あれ?
私、これで諦めようと思ったのに深く掘り下げられちゃったんだけど?!
待っててほしいって……
まだ好きな気持ちで待っててほしいってこと?!
『本当に気にしないで、私はマキマさんの事応援し』
デ「俺はちゃんとAさんと付き合いたいんで。」
耳を傾けたくなかったその言葉に事実を突きつけられる。
デンジ君も私に少しでも好意があるって事…?
嘘。私諦めようとしたのに
複雑な気持ちに涙が溢れる。
デンジ君反則だよ、それ。
デ「Aさんの言葉、無駄にはしないっすよ。待っててくださいね」
『ふふっ、今すぐ好きになってくれても良いのに』
デ「それは言わない約束っしょ!」
やっぱり君が好きだな。
マキマさんには負けない…!!
いつかはデンジ君と本当に付き合ってやる!!
好きと言って良かった。
彼と笑い合うこの空間が好きだ。
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作者名:さくれ | 作成日時:2022年12月2日 17時