飴玉が6個目 ページ7
天気が晴れ晴れで日が昇る頃。
水木と院瀬見は捕まえたタクシーに乗って哭倉村の入口となるトンネルへ向かった。数時間も掛けてやっとトンネルの付近に着いた。
タクシーから降り、水木はその先にあるという哭倉村へのトンネルへ向かった。
そういや俺は昔、ここを潜り抜けてトンネルから出たんだ。
「いやだ、俺はここから出る」
「ならお前は戦争に行け。二度と帰ってこないで」
「お兄様！！！！私を置いていかないで！！！！」
「沙代、あんな奴に連れて行ったらアンタは1人になるのよ？？？！」
「嫌です、もう嫌です！！こんな家なんか居たくないです！！！！」
「お兄様、約束してくださいｯ……。いつか、帰ってこれたら私を、
東京に連れて行ってください……」
俺は深夜、この村から出て東京に行こうとした時。俺の妹である沙代はこっそりと家から抜け出して俺に「最後」の約束を泣きじゃくりながら伝えにきた。
だけど、俺の頭の中はもう目茶苦茶で意味が分からなかった。あんな家から逃げることが精一杯で。
二度とこの家に、この村に戻ってこれるかよ。
本音を覆い隠して、口から出たのは嘘の言葉だった。
「生きてたらな」
それ以来、俺は一度もこの村に帰ってこなかった。きっと沙代は俺のことを恨んでるんだろう。
ガキだった頃の自分を思い出して、取り返しのつかないことをしてしまった最低な嘘つきの兄だ。
「どうしたんだよ、院瀬見。このトンネルが怖いのか？」
俺は水木の掛け声にはっとした。水木はどうやら動かない俺を心配していたようだった。水木の姿を見ると何故か先程の嫌だった気分がどこかへ消えた。
どうして水木を見るとこんなに落ち着くのか。
実は前々からそんな感じだったが今も謎だ。
……あれ、そういえば水木に東京に来た理由話したっけ？
「水木」
「なんだ？」
「……何で俺が、東京に来たのか知ってたりする？」
「いや、知らないな」
「そっか、なら良いや」
水木は少しだけ戸惑って見えたが、俺は何もないとでも言いたげのように笑ってみせた。
もし、水木はこんな俺を知ったらきっと今みたいにはならないのかな。
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眠吐(プロフ) - そばがきさん» そばがきさん、コメントありがとうございます！！凄く励みになります〜！！受験終わったら更新沢山出来ると思うので、楽しみにしててください〜！！🙌🙌 (1月21日 8時) (
レス) id: e1cef63b45 (このIDを非表示/違反報告)
そばがき - めちゃくちゃ面白いです！！毎回更新楽しみにさせてもらってます、これからもがんばってください、応援してます！！ (1月20日 22時) (レス) @page17 id: 5fd22facb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眠吐 | 作成日時：2024年1月15日 14時
