飴玉が4個目 水木side ページ5
大量の飴を持ってきた院瀬見に呆れた俺はポケットから取り出して煙草を口に咥えた。
その時、院瀬見はこんな質問してきた。
「何で水木はこの依頼を受けることにしたの?やっぱ出世??」
そういえば会社で院瀬見に説明する余裕も無かったな。あの時、部長から密命された内容を思い出しながら説明することにした。
「それもそうだけどさ。俺も院瀬見も社長に気に入られてるけど、社長たちにとって使えるものは使って使えなくなったら捨てる。どうせ俺達のことをそれしか思っちゃいねぇんだ。
それに龍賀一族について知ってはいるが、世の中に1つの情報も見つからないどころか謎が多すぎる。
だから少しでも手がかりを見つければ、今度からは俺の立場が大きく変わるんだろうな。勿論、院瀬見もだけどな。」
「やっぱ出世しかないじゃん。」
失敬な、出世しか目がなくて悪かったな。これでも一応、出世したいという自覚はちゃんとある。それに理由もしっかりある。
「ってかさ、出世したら難しい仕事が増えそうでやだなんだけど…」
「院瀬見、残念ながら世の中はそういうもんだ。
…………これ以上、誰かが俺を踏みにじされたくないんだ」
俺は院瀬見とは戦争時代の頃からの仲だった。俺が抱えてるトラウマも全部、院瀬見は知っている。…というより院瀬見に察しされた。
分かったとしても何も言ってこないし、話せる相手が院瀬見だから俺は良いとして。逆に院瀬見は自分についてあまり話さない方だ。元々性格だからなのか今もよく分からない。だが、院瀬見は話したくないなら別に話さなくてもいい。
きっといつか話してくれる時が必ずある。
「………………。」
いつものように院瀬見が昔のことを察してだんまりとしていた。この空気だと気まずい。何とかしようと、水木は口に咥えていた煙草の先に火を付けようとした。その時。
突然、先程まで明るかった列車の中が暗くなった。
停電なのだろうか?と、最初はそう疑った。だが、どうやらそうでは無かったようだ。何故なら他の乗客が院瀬見以外、誰一人も居なかったからだ。
こんな体験をしたことが今までなかった水木は大きく目を開いたが、院瀬見はびっくりしたというよりどこか心の底から少しだけ面白がっていた。
……こんな状況なのにどこが面白いんだろうか。俺は心の中で院瀬見にツッコんだ。
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眠吐(プロフ) - そばがきさん» そばがきさん、コメントありがとうございます!!凄く励みになります〜!!受験終わったら更新沢山出来ると思うので、楽しみにしててください〜!!🙌🙌 (1月21日 8時) (レス) id: e1cef63b45 (このIDを非表示/違反報告)
そばがき - めちゃくちゃ面白いです!!毎回更新楽しみにさせてもらってます、これからもがんばってください、応援してます!! (1月20日 22時) (レス) @page17 id: 5fd22facb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:眠吐 | 作成日時:2024年1月15日 14時