飴玉が13個目 水木side ページ16
夕闇がどんどん夜の暗さに変わる頃。
あのあと時磨さんが泣きじゃくれて遺影にすり寄せて、誰も声出せず時磨さんの様子を見ると、突然大きな揺れが起きた。
あれは一体何だったのか今もよく分からない。
俺は用意された客室でふとんを出す一方、院瀬見ら何もせず窓から外を見ながら棒付き飴を食っていた。
いつもスーツで髪を縛っていた姿ではなく、髪を下ろして着物まで着ていた。泊まりで、その姿はもう見慣れたはずなのに今日は月の光を浴びているせいでいつもより綺麗だった。
「いや〜〜。今日は大変だったねー。ほんとにあの時磨？なんたらが泣いてたしー。
あれ以上泣いたら化粧落ちて顔が化け物になってたのかなー。」
口だけ黙っていれば、色んな女性が心を奪ってしまうのにな…。
できることなら、今の院瀬見を他人に見せたくない。独占欲にまみれた水木は沙代と会った時。あの時に言っていた院瀬見の言葉を思い出した。
…………情人か。
直球に言うが、俺は院瀬見のことが好きなのだ。今も昔もずっと。
時が遡る、まだ戦争が激しかった頃。そこで初めて院瀬見と会った。最初は院瀬見の性格がひん曲がっていたため、誰も彼に近付くこともせず皆は院瀬見と距離を置くようになった。必要最低限の会話をする以外、寄りかかる人は居なかった。
噂など気にしなかったけど、何故か院瀬見のことが心配で目を離すこともできなかった。
ある日、理不尽な差別か、またはただの苛立ちを発散するだけなのか俺たち兵隊はいつものように横列に並んで上官に殴られるだけの時間を待っていた。
ついに俺のところまで来て大人しく受けようとした。もし、ここで助け舟を出してくれなかったら俺は何かを失っていたのかもしれない。
「上官、俺達を殴る暇あるのかよ。戯れな遊びはやめて、真剣に作戦を考えたら良いんじゃねーの？
少しでも国の勝利に近づくし、生還の可能も高めると思うんだけど」
「何だお前!!!!上官に向かってその態度をすんじゃねぇ!!!!」
誰も逆らえない上官に口出しをした兵は今まで居なかった。そんな彼に、
あぁ。コイツ、身の程知らずなんだな。
と、思った。だけど上官は院瀬見の言ったことに反論することは無いのか、これ以上何も言えずずっと手を上げたままだった。
戦争に参加させられた時から、初めて人に殴られることもせず済んだ。
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眠吐(プロフ) - そばがきさん» そばがきさん、コメントありがとうございます！！凄く励みになります〜！！受験終わったら更新沢山出来ると思うので、楽しみにしててください〜！！🙌🙌 (1月21日 8時) (
レス) id: e1cef63b45 (このIDを非表示/違反報告)
そばがき - めちゃくちゃ面白いです！！毎回更新楽しみにさせてもらってます、これからもがんばってください、応援してます！！ (1月20日 22時) (レス) @page17 id: 5fd22facb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眠吐 | 作成日時：2024年1月15日 14時
