飴玉が11個目 ページ14
なんか凄い胸糞悪い。目の前にある大広間だったっけ?あんまり覚えてないけど入らないといけない。誰が居るのかはもう分かりきったことだ。
頭の中に入るなと警報が鳴っていて吐きそうになるが、何とか平常の顔を保っている。ほら、水木だって気付いてない。これは良いが、問題は龍賀家の者と昔の俺を知る者が俺を覚えてるかどうかだ。
誰かが覚えていて、俺の身内を勝手に明かしたら居場所が無くなってしまう。永遠に一人になる。これは大きな賭けだ。誰一人も覚えていないことを祈るしかない。
克典が襖を開けると、そこに大勢の人達が正座していた。その人たちが俺と水木を冷ややかな目で見てきた。思わず「きも…」を言うと、水木にみぞおち殴られた。解せぬ。
広間に入ると、頭に数本しか生えてない出っ歯の男が慌てて座布団を用意した。俺たちは正座すると、最初に声を発したのは、
「あら、見慣れない顔が居るようだけど」
母、乙米だった。
できるだけ、乙米とは目を合わないように真っ直ぐを見た。このまま見てたら呆然してるように見えるので、少しだけ視線を下に逸らした。
気付いたけど、あの大きい遺影のジジイは誰だろうと思ったら自分の祖父で吹きそうになり口を抑えた。祖父ってあんな顔してたっけ?
目の前にタヒんだ祖父、冷ややか目線。
少し前は不安で煽っていたのに、今の光景が昔のあの頃を戻ったみたい。
彼の心は本気で面白がっていた。
「私は血液銀行の水木と申します。この度は心中をお察しします。」
「貴方には分かるというんですか。
お父様を無くしたこの私の気持ちがッッ!!!!」
「いやー、全然分かんない」
「……は?」
うっかり声を出してしまったせいで、皆の視線が俺に注目してきた。凄く痛いけど仕方ない。
「……貴方、今なんて言いました?」
「だからさぁ、全然分かんないって言ってんだけどー。来た他所の者に対してそれを言える律儀じゃないじゃん。さっきだって、長髪のおじさん達に囲まれて他所の者扱いされたもん。
わざわざ俺たちが東京から来てるんだからさー、ね?おばさん。」
「黙って聞いてみれば言いたい放題だけ言うのね…
礼儀知らずの都会人が!!!!」
乙米は喧嘩を買うつもりで声が荒げた。院瀬見も言い返そうとした。
その時、音よく襖を開く音がした。音がした方へ見ると、先程会った沙代と時弥が入ってきた。時弥は院瀬見と水木を見ると、状況も知らず明るい顔で寄ってきた。
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眠吐(プロフ) - そばがきさん» そばがきさん、コメントありがとうございます!!凄く励みになります〜!!受験終わったら更新沢山出来ると思うので、楽しみにしててください〜!!🙌🙌 (1月21日 8時) (レス) id: e1cef63b45 (このIDを非表示/違反報告)
そばがき - めちゃくちゃ面白いです!!毎回更新楽しみにさせてもらってます、これからもがんばってください、応援してます!! (1月20日 22時) (レス) @page17 id: 5fd22facb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:眠吐 | 作成日時:2024年1月15日 14時