飴玉が10個目 水木side ページ13
俺は沙代さんと別れてから、院瀬見と共に龍賀家へ訪れた。家の門に入ってひたすら歩いた頃。一瞬周りに人が囲まれた。
一体この者たちはどこから現れた？
俺たちの後ろにこの者たちのまとめ役らしき長髪を縛った糸目の男性がこちらに向かってきた。
「この村の者ではない他所の者がこの家を訪れるとは大変、大歓迎させて頂きますよ。」
「ﾁｯ…面倒くせーやつ……」
院瀬見の心の声がダダ漏れだった。正直言うと俺も面倒くさい。何でこんな人たちに他所の者を警戒されなきゃならないのだろうか。
院瀬見に目を配ると今でも人を殺しそうな目だった。オーラが溢れてる院瀬見に不味いと感じた俺は小さい声で院瀬見に声を掛けた。
「院瀬見、落ち着け。こういうのは冷静に対応するものだ」
「……分かったよ」
すると、憎悪の溢れた雰囲気は消え去った。少しだけ安心した水木はポケットから名刺を出すことで、周りの人たちの警戒心を解くことにした。
「あ、あのー。私は東京から来た者でして、社長の会社で働いていま…」
「おー!!そこにいるのは水木じゃないか!!」
屋敷の向こうから社長らしき姿が見えてきた。
「っ!!社長!?
……あ、失礼します。」
俺は周りに囲まれた人に軽く挨拶して龍賀家である屋敷に入った。途中で院瀬見もついてきてないことに気付いて、後ろを振り返った。
そこには今まで一度も見たことなかった影のある表情だった。
名前を呼ぼうとしたのに、どうしてそんな悲しい顔をするのかそれが夢中で言葉が詰まった。気付けば隣には、さっきまで暗い表情をしていた院瀬見の顔がいつも通りに戻ってきた。
気の所為……か…？
「社長お久しぶり〜〜。なんか老けた？」
「はっはっは！元々から老けてるぞ！ってか院瀬見！！
上下の立場がはっきりしてるから敬語使えろよ！」
「いやー、昔から大変口悪いので無理かな〜〜？」
「まぁ良い！2人共、部長からの話を聞いてわざわざ駆けつけてきたのか？」
「はい、行かない義務がないので」
「そうか！なら入るが良い！」
そう言って、社長は案内しようと先に歩き始めた。この家はかなり広いので迷いそうだな。社長に続けて俺も行こうとした時、スーツの袖を院瀬見に引っ張られた。
「ん？どうしたんだ」
「……迷いそうだから握ってもいい？」
「あぁ、全然構わないぞ」
こういう時だけはいつも甘えてくるから可愛いな。
心の中で隠しながら歩き始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
眠吐(プロフ) - そばがきさん» そばがきさん、コメントありがとうございます！！凄く励みになります〜！！受験終わったら更新沢山出来ると思うので、楽しみにしててください〜！！🙌🙌 (1月21日 8時) (
レス) id: e1cef63b45 (このIDを非表示/違反報告)
そばがき - めちゃくちゃ面白いです！！毎回更新楽しみにさせてもらってます、これからもがんばってください、応援してます！！ (1月20日 22時) (レス) @page17 id: 5fd22facb9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：眠吐 | 作成日時：2024年1月15日 14時
