僕を知らない君へ ページ39
書いてみたかった”ご都合領域展開”。
色々あり、28歳の先生は6歳の貴女に会いに行きます。
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「うわ。もしかして、面倒なやつじゃないのコレ。」
7月の初夏に入り、人の呪いは繁忙期真っ只中。
輪をかけて訪れた梅雨の湿っぽさのせいで気分は妙に晴れない。
それは例え、
任務先が最愛の人の生まれた土地であったとしても変わらない。
ここで生まれ、両親の愛を受け、同時に全てを奪い取られた場所。
1度だけAの暮らしていた跡を探しに来たが、遅すぎた。
5年という月日は何もかもを覆い隠して、
思い出の一つさえ残らず、全てを奪ってしまった。
この場所は、嫌でもあの頃の無力さを思い出させる。
まあそれはさておき、少し面倒なことになった。
半日も費やして土地神を祓い、
やっと東京に帰れると思った矢先
妙に明るい光に一帯ごと覆われて、
呪霊も近くに居た補助監督も消え、僕一人が残った。
同じ場所のはずだが、時間帯も天気も違う。
祀られていた社はさっきより綺麗に整えられていて、
祓ったときにできた周囲の抉れはどこにもない。
土地神は、人の負の感情から生まれる呪霊とは違う。
かつては信仰され、時としては呪いさえ遠ざけていたモノが
転じて自分が呪いを生むまで堕ちてしまった神の生れの果て。
いわばこの土地も、呪霊の一部のようなものだ。
故に先ほど祓う直前に妙な歪みに巻き込まれたのだろう。
待ってさえいればいつかは元に戻るのだろうが、
特級呪術師である僕の時間はそれ程安くはない。
早く帰ってAに今日の疲れを労ってもらいたいのに。
「同じ場所だよな。はー…、携帯も繋がらない。」
電波どころか電源も入らなくなった携帯をポケットにしまい、
とりあえず石畳の上に腰掛ける。
さっきは夜中だったが今は夕暮れ時に変わり、
雲行きは怪しく今にも雨が降りそうだ。
― ｱ"ァ"ｧ……出テオイデ、ほらァ…一緒…ニ、帰ロウ…ｷﾞｷﾞｯ ―
「…なに。無償労働なんかしたくないんだけど…。」
日が落ちて薄暗さが増してきたら、ぼんやりとやって来た呪霊。
鳥居の向こうでウロウロしながら徐々に大きさを増していく。
2級か、3級くらい。
この神社はやけに結界の力が強いため
どうせ入ってはこれないだろうと暫く放って置いたが、
あまりにしつこく喚かれ、不本意だが仕方なく祓ってしまった。
― ｷﾞｨ… ―
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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます！ (2020年11月22日 22時) (
レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています！ (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました！一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ！ (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています！正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます！ (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月3日 2時
