検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:613,937 hit

琥珀色の宝石7 ページ37

:





汚い目でこの子を見る男に吐き気がする。
望みなど叶えてやる気は微塵もない。
Aの頭を撫でていた手に力を込め、
さらに強く抱き寄せる。







「お前を殺せば、この子は泣き止むの?」

「さぁな。もう呪いはいくつもかけた。良い子だ。僕の言葉をちゃんと信じている。…怖いよね。苦しいよね。心を許す唯一の人間も、所詮お前を利用して捨てるんだから。」





「…。」

「…ああ…本当に美しい瞳だった…。あと少しで手に入ったのに、」






さっきまでAの瞳にかけていた指を見つめ、
恍惚とした顔で微笑む男。



もし、あと少し来るのが遅かったら―、
もし、助けられてなかったら―、

この子を傷付けられる光景を
想像しただけで耐えられない。

Aの体も、心も、この瞳も全て、
Aと、僕のものだ。
禪院にも、上の連中にも、誰にも、少しも渡さない。








「…誰がやるかよ。」

「ッ…」









Aにかけた呪言を解呪できないなら
もう生かしておく意味はない。
死ぬまで痛めつけて、出来るだけ長く苦しめる。
もう息も絶え絶えになったのを放置し、
落ち着いたAを抱えて部屋を出た。









「家に帰るから迎えに来て。あと呪詛師と結界の後始末の手配。」



伊地知に電話をかけ、返事も待たずに電話を切る。
廊下に落ちていたお弁当も拾って、
何も言わないままのAを覗き込んだが顔がよく見えない。
でも肩に置かれた手はいつもより弱々しくて、
やはり呪言の呪いはまだ残っている。









そのまま校舎の出口まで着くと、
男の意識が途切れたのか結界が消えた。
このまま連れて帰るわけにもいかず、
誰かに声をかけようかと考えていたところに
もう大丈夫、と呟くAの声が聞こえて、
ゆっくりと地面に下ろす。







『…ごめん。』







俯いて、目を合わせずに小さく謝るA
泣き止んだ顔は少しだけ紅潮して、
睫毛が濡れている。
こんな状況でも、
初めて見る表情は溜息が出るほど可愛い。






「A。前にも言ったよね。…お前より大事なものなんて、一つもないよ。何があっても、僕がAを離すことは絶対にない。」

『…うん。』







「僕に捨てられると思って、泣いちゃったの?そんなに可愛いことしてると食べちゃうよ?」

『………いいよ。そしたらずっと一緒に居られる。』







「は?………ちょっ―、………………結婚する?」

『何言ってるの?』

琥珀色の宝石 終→←琥珀色の宝石6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (532 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1266人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 両面宿儺
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます! (2020年11月22日 22時) (レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました!一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ! (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています!正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます! (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年4月3日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。