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琥珀色の宝石〈1年前〉 ページ31








「もっと飛ばせよ、伊地知。もう11時だぞ。」

「……法定速度+10キロ。もう限界です。」




「お前、僕より罰金が怖いの?Aの出番見逃したら半殺しにするからな。」

「……。」





息が詰まるほど背中に刺さる殺気に冷や汗が流れ、
アクセルに乗せた右足は防衛本能のせいか勝手に力が入る。

昨夜から始まり、
少なくとも夕方まではかかる予定だった任務は
五条さんの恐るべき手腕と強引さで朝方には片が付いた。

感嘆と羨望の眼差しが向けられるなか、
彼は息も付かずに事後処理の指示を出して
「早くして。予定より遅れてる。」
と、僕の頭を掴んで運転席に投げ込んだ。


10時間以上巻いてるのに何を言ってるんだ、と訝しみ、
車のナビを設定していると不意に今日の日付が目に入った。

ああ、なるほど。
そういえば今日はAさんが通う中学で体育祭がある。
しかも中3の彼女にとっては今年が最後。
授業参観でさえ自分の授業を放棄して観に行く彼が、
今日という日を任務くらいで諦めるわけがない。








「お、…お弁当とか、買わなくていいんですか?」

「今朝Aが作ってる。僕の分もね。」






これはいよいよ急がないと、
1分でも昼休憩の時間に遅れたら命が危ない。

いくら公共交通が発達した東京でも、土曜の昼間は混む。
いつもならあと10分で学校へ着くのに、
少なくとも30分はかかるだろう。

死ぬほど理不尽だが後で僕が夜蛾学長に怒られてもいい。
もう術式使ってトんで行ってくれ。

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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます! (2020年11月22日 22時) (レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました!一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ! (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています!正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます! (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月3日 2時

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