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知らない顔11 ページ22

悟「…離さないよ。…A、こっち向いて?」

『…、』




悟「ほら、いい子だから。」



空いている方の手をAの頬に当て、上に向かせる
怒っているのか、泣きそうなのを堪えているのか、
それでも愛らしく思ってしまう自分に呆れながら
まだ小さく抵抗している体を少し強引に抱き寄せる





『…。』

悟「気が済むまで叩いても怒ってもいいよ。でも離してはあげられない。ごめんね。」




初めてAに拒まれ動揺している自分を何とか押し殺して
今はこれ以上Aが離れていかないよう
嫌がるのを無理やり抱き締めることしかできなかった
どんな言葉を選んでもAのことを傷付けそうで
ただ黙ってまた顔を見せ、その目で僕を見てくれることを待つ

1年と少し、
長いようで短い時間を一緒に過ごした
ずっと僕の後ろを追いかけ、名前を呼べば嬉しそうに振り向いて
頬に触れるとはにかんで、子猫のように摺り寄る
仕草も表情も、全てが堪らなく愛おしい

一緒に居ないと生きていけないのはもう僕の方かもしれない






『悟は悪くない。…私がまだ、子どもなだけ。』


悟「そんなに早く大人にならないでよ。もっと僕に我儘に甘えればいい。」





大人になって1人で歩けるようになったら
この子は僕の手から離れてしまう
色んな人に出会い、僕じゃない誰かの隣で幸せそうに笑ってる
そんな日が来るくらいならずっとこのままでいい
このまま僕の腕の中で、誰の目にも君を映したくない





悟「僕のA。君より大事なものなんて1つもないんだ。僕の愛も優しさも、Aにしかあげない。」


『…、』



悟「だからちゃんと全部受け取って。もっと僕に愛されて。」






無理矢理抱き締めていた腕を解いてもう一度名前を呼ぶが
黙ったまま何も言わず、まだ顔を見せてはくれない
それでももう離れようとはしないAにすこしほっとする
しばらくすると今度はAの腕が僕の背中を掴んで
ようやく綺麗な琥珀色の瞳に僕を映してくれた



『…嫌って言って、ごめんなさい。』

悟「いいよ。でももう言わないで。ショックで死にそうだから。」



『探してくれて、…迎えに来てくれて、ありがとう。』

悟「どういたしまして。」



すっかり冷たくなった手を握って部屋に戻る
まだ笑顔は見られないがいつもより握り返す手に力が籠っている
愛らしい仕草に微笑ましく横顔を見つめると首筋に入った赤い線に目が留まった



悟「…それ、あの女にやられたの?」

『…。』

知らない顔12〈終〉→←知らない顔10



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茉莉 - この作品が好きです。更新、待ってます! (2020年11月22日 22時) (レス) id: a68061a5cd (このIDを非表示/違反報告)
Gettion - え…心臓痛くなるくらい好きです。応援しています! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b24edd395c (このIDを非表示/違反報告)
uka8502(プロフ) - 更新停止ですか??ホントに面白すぎてハマりました!一気に見ました!!更新ホントにお願いしますっ! (2020年10月19日 1時) (レス) id: 7913de20e0 (このIDを非表示/違反報告)
AiRIN(プロフ) - いつも楽しく拝見しています!正直、縞さんの作品ならどれも大歓迎ですが、しにたがり姫か好きなので、続編を待ってます! (2020年5月17日 13時) (レス) id: 931e2c7403 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月3日 2時

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