しにたがり姫 (ページ46)

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『…あの、…そんなに…見ないで…』

悟「いいから。もう一回言って。」

顔を離した後もあまりに熱い視線を向けられ
恥ずかしさに耐えきれず手で顔を隠そうとしたが悟に捕まれ阻まれる

触れるだけの一瞬のキスと
たかが合計7文字の告白

10秒にも満たない出来事に
5年分くらいの勇気を振り絞った気がする

『…そんなに見ないで。』

悟「そっちじゃないの知ってるでしょ。ほら、早く。」

今度は悟の顔が近づいてくる
大きな手は逃げられないよう頭の後ろに回され

真っ直ぐな視線に早く、と促される

『…、好き…』

悟「それで？」

『……愛してる。』

望みの言葉を吐き出させると満足したように微笑み
そのまま掴んでいた手に指を絡める

昨夜よりもゆっくり、深く、甘く

絡まった指先がくすぐったく痺れる

悟に触れられた所から体に力が入らなくなる

悟「愛してるよ。たぶんAよりずっと。」

『…ん、』

まだ濡れたままの瞼にキスを落とし顔を離す悟

いつも私の欲しがった以上の言葉をくれる

優しくて愛おしくて

幸せ過ぎて怖くなるくらい

『…っあ、』

悟「…？」

大きな手で頭を撫でソファから立ち上がる悟の服を咄嗟に掴む

行かないで欲しい、

やめないで欲しい、

言葉に出来ないまま体だけが動く

『…悟、』

悟「だーめ。」

いつもの目隠しを付けて私の手を外し
目線を合わせるようにしゃがんで頬に手を当てる悟
どことなく困ったように笑っている気がする

悟「止められなくなるから。」

『…ごめん。』

貴方の甘すぎる優しさが

胸に刺さる

尊くて
愛おしくて

痛くて痛くて堪らない