しにたがり姫

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一番会いたかった人から
一番欲しかった言葉をかけられ

また止まらなくなった涙を袖で拭う
そのまま悟に手を引かれ、一緒に部屋に戻る

今日はずっと泣いている気がする







悟「…慣れてないから、どうしたらいいか分かんない。もう泣かないで。」




これまであまり泣くことはなかったA
どうすれば泣き止むのか、また笑ってくれるのか分からない

ただ小さな体を抱き締め
髪を撫でて背中を擦って精一杯甘やかす






『…い、』


悟「ん？」





小さく呟いた言葉を聞き逃さないよう
顔を近づけて耳を澄ます

胸に顔をうずめていたAも顔を上げ
お互いの顔を近づけ合う



濡れた琥珀色の瞳が綺麗で、吸い込まれそうで、逸らせない

僕と同じ呪力を視る不思議な瞳に
僕1人しか映っていないだけで満たされる







『ずっと…、悟といたい。ここが、一番好きな場所だから。』





言葉以上の気持ちを伝えようと悟の腰に回した腕に力を込める
どんな言葉が一番近いだろう
紡いでも紡いでも伝えきることのできない
重たく膨れ上がってしまった思いを貴方にも知って欲しい





悟「…。」








普段は隠してしまっている青く澄んだ綺麗な瞳
私なんかが独り占めするのは勿体ない

でもこの瞬間は
私だけを映していて欲しい

貴方にたくさん甘やかされ
こんなにわがままになってしまった私を受け入れて欲しい







まだ15歳

体も心も未熟で



悟の周りを囲む大人の女性のようには振舞えない




早く貴方に似合う大人になりたい







でもその頃にはもう体はボロボロかもしれないから

せめて精一杯大人の真似をするよ









『…__好き…』







腰に回していた手を悟の肩に置き
座ったまま腰を上げて背伸びをする

息がかかるくらい顔が近くなる








『…____愛してる__…』






悟の好きな映画でよく聞く言葉

あんなふうにさらりと言えるなんて羨ましい



息が詰まって声が掠れそうになる
恥ずかしさで耳まで熱い



心臓の音が悟の所まで聞こえないよう祈りながら


この世で一番甘くて優しい唇に口付けをした

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