しにたがり姫 (ページ29)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:1,198,164 hit

16 ページ29

:

宿「まあ無暗に強い力を使わんことだな。」

『分かった。ありがとう。』

殺されたのは解せないが
宿儺なりに私に気遣ってのことなのだろうか

それでも呪いについてはっきり知れたのは良かった

やはり出来ることはあまりない

つくづく運と望みの薄さに嫌になるが、もう受け入れる以外はなかった

宿「1人で何とかするつもりか？あの男に手を貸してもらえばいい。」

『悟はもう十分に守ってくれてるよ。それに、あんまり長生きしても迷惑になる。』

呪術界のことは詳しくないが

たぶん悟は私が普通の日常を送るためにたくさんのことをしてくれてる

それに、

きっと彼はこれからも多くの人を助け、守っていく人

御三家と呼ばれ、この世界の呪術師をまとめていく人

『ほんとはもう十分なんだよ。でもまだあの心地よさに居座りたくなる。欲深くて傲慢で、だんだん人間っぽくなってきたなぁ。』

下を覗き込み、水面に映った自分の顔を眺め溜め息が零れる

久しぶりに頭の中で色んな感情が溢れてよく分からなくなる

宿「…ふん。もう用は済んだ。」

『生き返らせてくれるの？』

宿「次は小僧に用がある。あとでちゃんと戻してやるから、お前は眠っていろ。」

宿儺の手が頭に置かれすうっと意識が遠のき

そのまま腕の中へ倒れこむ

一体悠仁と宿儺は何を話すのだろう

朦朧とする中水面に立つ悠仁の姿が視界に入るが

すぐに意識を手放し、再び深い眠りについた