しにたがり姫 (ページ20)

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無事呪霊も倒し男の子も救出し高校初任務を終えた悠仁と野薔薇

男の子も家族のもとに送り届け
周辺の呪霊の気配も消滅した

高専へ帰る前に外でご飯を食べることになり
今回は野薔薇の希望のお寿司やさんへ向かう

釘「なんか、あんたってもっと気取った感じかイカれた奴だと思ってた。」

『私が？なんで？』

電車で隣に座った野薔薇に話しかけられ
スマホをいじる手を止め顔を向ける

釘「宿儺の血を引いた生残りで呪術師に両親殺されて自分も呪術師になろうとしてんでしょ。普通は目指さないわよ。」

『あー。まあまだ7歳だったしね。正直あんま覚えてない。』

釘「そんなに前じゃないでしょ。8年しか経ってない。」

『そのあと色々あったし。なんか霞んじゃった。』

辛そうな表情も見せずヘラヘラ笑うAに眉を歪ませ首をかしげる野薔薇

誘拐されてすぐに記憶を弄られ両親との思い出が
わずかしか残っていないAにとって
当時のことは今でも夢に見るほど鮮明に覚えているが
殺されたことに怒ることも、悲しむことも出来ず
ただ自分への嫌悪感が募るばかりだった

Aについて当時公表された情報は
8年前処刑した際に逃げた子どもが
禪院家によって一級呪霊を受肉した状態で発見され
数名の術師を犠牲にしながら処刑しようとしたところを
任務中の五条悟が強引に身柄を引き取ったというもの

もちろん実際は5年間禪院家に飼われていたことなど
野薔薇が知っているはずがない

釘「…。馬鹿ね。子どもの頃の記憶なんてだんだん霞むに決まってるじゃない。覚えてないからって恨んじゃいけないわけじゃないでしょ。」

『…え』

薄情さに引かれるか罵られると思っていたが
予想外の返事に思わず間抜けな声が漏れる

釘「何その顔。」

そんなに可笑しな顔だったのか
口元を押さえて笑う野薔薇の顔に思わず頬が緩む

今日会ったばかりの友達とも言えない関係の野薔薇の言葉が
ストンと体に入っていく感じがする

『野薔薇すき。』

少し離れていた距離を詰め腕を組み
おでこを肩にくっつけてすり寄ると

すこし顔を赤くして頭を鷲掴みにされ引き離された

釘「ちょっとくっつかないでよ！この尻軽娘！」

『口悪。』

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2018年4月
西東京市英集少年院運動場上空
特級仮想怨霊(名称未定)
その受胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専一年生4名が派遣され

―内2名死亡