Story of RAiNBOW【九条天】 (ページ9)

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trip★*06 ページ9

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今時、"TRIGGER"といえば一世を風靡するアイドルとして有名。
ましてや、そのセンターを務める"九条天"ともなれば多岐にわたり人気を誇る存在であるわけだが。

その存在を知らないと言ってのけるあたり、この女性らしいというべきか。
TRIGGERへの関心が薄いことを悲しむのが先なのか、それとも驚く方が先なのか自身の感情の間でせめぎ合う楽は珍しく言葉を失う。

「え、ごめん。私、なんだか失言したかしら」

「いや失言てほどじゃないんだけどさ。ちょっと驚いたっていうか。なあ、八乙女」

「さすがに自信失うわ。それでもってお前が俺にどれだけ関心がないのかよくわかったわ」

「全く関心ないわ。私がアイドルで推してるのはアイナナのナギくんとZOOLのハルくんだから。曲なら間違いなくRe:valeね」

「この尽くTRIGGERを避けてく感じ。意図的でないせよ、さすがあの御堂の姉というべきか」

「なんだ。お前までアンチトリガーかよ」

両腕を組み、機嫌を損ねる楽を目にすれば頭上にハテナが浮かぶそんな時分。
特段、御堂にとってTRIGGERというアイドルに対し否定的な感情はなく、むしろそこにあるのは無知という表現が正しいか。

要は、TRIGGERに今まで彼女は触れる機会がなかったのだ。

「別にアンチじゃないわよ。ただ知らないだけ」

「そんなわけねぇだろ。御堂から聞いてねぇのか、なにも」

「おい、八乙女。そのくらいにしておけよ」

「聞いてないわよ。その様子じゃあの子が貴方達になにかしているようだけど、家であの子が貴方たちの話しをしたことなんて一度だってないわ。私に、あたらないで」

一瞬にして凍り付く空気。
本来女性であれば、男性に声をあげられたら多少の恐れを持つのが普通であろうが、彼女は違った。
一歩退くどころか一歩前に出る始末。

全くもって、そこには恐れの１つもない凛とした態度で胸を張るのだ。

「あの子も子供じゃないわ。だから私も助け船を出したりはしない。もし、貴方達に危害を加えているのならそれはいずれあの子たちが追うべき責よ。けれど、もし本当に迷惑をかけているのだとしたら姉として誠心誠意謝罪するわ」

「…すまなかった。つい熱くなった」

「わかってくれたのならいいの。私も少し言い過ぎたわ。ごめんなさい。あの子のことになるとつい熱くなっちゃうのよね」

それで一体なにをしでかしたのかしら？と付け加える彼女に、え？と声をハモらせる二人は互いの顔を見合わせるのだった。