Story of RAiNBOW【九条天】 (ページ4)

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trip★*01 ページ4

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「うがああ、あったまいったぁ…」

「おい、姉貴…。朝から色気のない声だすなよ。食欲が削がれるだろ」

「仕方ないじゃない。飲み過ぎて頭痛いんだから」

「なら今日は休めばいいだろうが」

「なになに、虎於ー？お姉ちゃんのことが心配なのかー？かわいい奴めぇ」

「ばっ。や、め、ろ！髪が崩れるだろうが！！」

これが御堂家の朝。
いつもの日常。戯れていること以外を除けば、二人揃ってその名に恥じぬ美しい所作で食事を頂くそんな優雅な朝を迎えていたわけだが。

そんな日常に慣れるにも簡単なことじゃなかった。

というのも元を正せば彼女、"御堂ひかり"という人物はこの世界に存在しない人物。
そう、信じられないことに彼女は異界からの転生者なのだ。

そんな彼女がこの世界に馴染むべく、御堂家の高等教育に耐え抜いたことは並大抵の努力では敵わない…まさに血の滲むような努力をし今の立場にあるわけだが。

ここまで彼女が頑張れたのには理由があった。
それは、この世界が彼女の元居た世界では"２次元アイドル育成ゲーム"と呼ばれるゲームの中の世界。それも、彼女が今までで最もドハマりした世界そのものだったのだ。

この際、自分が何故転生したのかなど彼女にとってはどうだって良かった。

大好きなキャラクターたちと同じ世界を生き、あわよくばライブなんかも観に行ったりもして。
それも、願ってもいない物語の渦中にいる中心キャラクターの姉だなんて贅沢すぎる立場をいただいた今、どんな教育にだって耐えられた。

この二次元ならではの美しい容姿にしたって才能にしたって、このまま腐らせてしまっては勿体ない。

であればと今日まで全力で走り抜けてきたのだ。

「うん、頑張ったよ。私。本当に頑張った…偉いぞ、私ぃ…」

まじで死ぬかと思ったけど。

「また変な世界入ってるな、こりゃ。まあいい。そういえば、姉貴。昨日、誰と飲んでたんだよ」

「嫌味？一人に決まってるでしょ、フラれたんだから」

「は？フラれた？そいつ、見る目ねぇだろ。こんな良いオンナ」

「本当にそれよ。彼奴、一発地獄にでも堕ちてくれないかしら」

「姉貴って、たまに発想がぶっ飛ぶよな」

そんな楽しい朝の食事は箸が進むもなんも。
今となっては、すっかりと馴染んでしまったこの世界は彼女にとってのかけがえのない世界となっていた。

そんな彼女の元の世界の記憶が徐々に色褪せていることなど今の彼女には知る由もなかったのだ。