Story of RAiNBOW【九条天】 (ページ12)

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trip★*09 ページ12

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　二度あることは三度ある。
それどころか。もしかしたら、三度どころの話しではないのかもしれない。

昨夜出会った男の子はどうやら初めましてではなかったらしいが、なにが不味いって全く自分自身の記憶に彼が残っていないことか。

本当に覚えがないのかって？
…正直なところ、全く覚えがない。うん。

ぶっちゃけ、可能性を考えるのなら飲んだ暮れたあの夜なのだろうが。
……尚のこと、思い出したくなくなってきた。

「確実になにかやらかしてたことが確定している時点で、もう二度と会いたくないくらいなのだけれど」

頭を抱えるとまでは言わないが、困惑していないといえば嘘になるそんな時分。
ふと１つの疑問が浮かぶ。

そういえば、何故私はTRIGGERを認識していなかったのか、と。

アイドリッシュセブンといえば、"こちら側"でいえば"アイドル育成リズムゲーム"。
それも私がドハマリしていた激熱ジャンルで、先行配信からの長い付き合いもあってかかなりの愛着があったはず。

中でもTRIGGERといえば、主軸となるアイドルグループ"IDOLiSH7"のライバルグループに位置する。
そんな重要ポストのキャラたちを一瞬でも忘れだなんて。

「修正力？それとも私が虎於の姉として転生したからなのか」

転生ものにはよくある展開。
自身の周囲に関する知識が失われていくあれだろう、おそらく。

「確か、ZOOLがちょっかいかけるんだったっけ…やばい、まじで薄れてきてる。……ていうか、こんな呑気にしてていいんだっけ。ZOOLが表舞台に立ってるってことは今はシナリオの3部…3部っていえばさ…」

えぐえぐじゃなかった？
あっちこっちで問題が勃発して、メンタルへし折られるとかいう最早彼等がアイドルだってことを忘れるようなやばい案件しか起こらない感じじゃなかった？

「推しが危険だ。私の推しがっっ」

具体的にどう危険なのかといえば全く覚えていないわけだが。

「仕方ないわ。これはもう私の本能を信じて動くしかないわね…huhuhu」

なんて、完全に九条天の案件が頭から吹き飛んでいる彼女の不敵な笑い。
帰宅直後、そんな姉の姿を目にした虎於はといえば、またいつものやつが始まったと呆れる始末であるわけだが。

「姉貴のあの気色悪い笑い方も耳に慣れたから習慣っていうのは怖いよな」

「虎於、おかえり？ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

真っ先に捕まるあたり、嫌な予感が胸を過るのだった。