trip★*08 ページ11
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「まずこのお兄さんが十龍之介ね。それで、ああこれが楽ね。ふぅん、写真写りいいじゃない。まあ顔はいいものね。それで、あともうひとりが…」
歩きスマホと衝突は付き物。
まあ敢えて天が避けなかったわけだが、先日ぶりの再会がまさかこんな意外な形になるとは思ってもいなかったのだろう。
「っと、申し訳ありません。前を見てなかっ…」
視線を通わせ、互いの時が止まるひととき。
春独特のあたたかな風が吹き抜け、彼女と花弁がまるで１つの絵のように映る。
そんなロマンチックな再会であるはずなのだが。
「ちょっと待って。ん？あれ同一人物？そうよね、髪の流し方も瞳の色も同じ。身長も…多少は誤差がありそうだけど本物ね。びっくり、まさか画像の人間と遭遇するなんてこんな偶然あるのね」
へぇ、ほぅなんて一連を確認されてしまえば、よくわからないこそばゆい感情に襲われる。
あの時だって、そうだった。
全くもって予想外。この
それにしても、一旦冷静になってみれば目の前の彼女は先日のことは勿論のこと、自分のことでさえ知らない事実を認識すると溜息をこぼしたくなるのも必然だろう。
あまりに遠い道のりに、思った以上に手強い相手であることを再認識すると同時に、天が考えたことといえば。
まずは印象に残す必要がある。その一点に絞られる。
「初めましてじゃないんだけど。とりあえずこんばんわ」
「あ、はい。こんばんわ。ん、待って。初めましてじゃないってどういうことかしら(ぶっちゃけこの子みたいなかわいい系の顔とかドストライクだし、忘れるわけないんだけど)」
「いえ、忘れてくださって結構です。大したことでもありませんし」
「げ。そう言われるとすごく気になるのだけれど。(私、なにかやらかした？やらかしたとしたらアルコールしか考えられないんだけど。この子、どうみても未成年だし…)」
思った通り、考えていることが顔にでる彼女を前にすれば思惑通りに進む様に口角があがるのも仕方ないだろう。印象を与えるのにはまずは上々。
僕のことを忘れるだなんて、しっかりと認識させてあげなくちゃね。
「それでは、僕はこれで。失礼します、"御堂さん"」
「え、ちょっと待って。…て、ん？今、私の名前呼んだ？って、もういないし！」
これが二度目の出会い。
三度目の機会もきっと。
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