夜を生きて死ぬ【シーザー】★ ページ5
「シーザー!」
街頭の下で立っている彼に向かって走った。時間は夜
私の声に気付いた彼が顔を上げて、勢いを殺さないまま突進してきた私を捕まえた。その勢いのまま回転し、元の位置に戻った
「はは、A。今日はずいぶんと機嫌がいいんだな」
「だって、楽しみだったの!シーザーとのデート」
彼の腕の中でそんな会話を交わす
私は、彼のごまんといるガールフレンドのうちの一人だろうけれど、私は彼が好きだからそれでいいって思えるの
早速私達は、手を繋いで歩き始めた。彼の手は私の手より大きくて温かい。そんな手が私は大好き
「Aの手、随分と冷えてるな」
強弱をつけてにぎにぎと、私の手を確かめるようにして、彼は手を繋ぐ
「夜だから、気温が低いもの。でもシーザーの手があったかいから平気」
強く彼の手を握ると、彼も強く握り返してくれた。とても幸せだ。この手に彼といる幸福を掴んでいることを実感した
「シーザー、好き。大好き」
好き、と口にする瞬間だけは、彼の唯一無二の彼女で居られる。彼の意識が私だけに向いている、とても特別な時間となる
「おれもだよ」
人の少ない淋しい通りで、彼と私は結ばれるのだ
この時だけが、私の生を実感できる、最高の時間だった
私は彼と見つめあい、そしてゆっくりと声を出す
「ねえ、シーザー。あなたに話したいことがあるの」
「なんだい、話してごらん」
彼の瞳が私を射った。ああ、彼はきっと、私の秘密について分かってるんだな、としんみりした
「私、吸血鬼なの。夜しか生きられない。それで何百年も生きてきた。でも、貴方みたいな素敵な人に出会えることは一度もなかった…」
きっとこうなる運命だったんだ。私は彼に出会うために産まれ、これまで生きてきたのだ
「お願い。私を殺して」
「…」
彼は黙っている。彼は迷っているのだ。それはきっと、私が女だから。だがこれは、愛する彼にしか出来ない事なのだ
「もう満足なの。私は今、貴方に殺されたい。ねえ、シーザー」
「….わかった」
唇を噛み締めながら、彼は私に近づいてきて、そっとキスをした。これが噂で聞いた、波紋というものだろうか。波紋は痛いと聞いていたが、不思議と痛みは感じなかった
体がゆっくり崩れ始める
「シーザー、ありがとう。大好き」
「…おれも、好きだ」
ウソでも嬉しい、愛してる。そう思った瞬間に、私の体は全て崩れた。未練などは微塵も残っていなかった
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たつみ(プロフ) - 海月さん» いえいえ、私もサーレー好きなのでリクエスト貰えて嬉しいです、ありがとうございます!海月様の思っていたものと違っていないかどうか不安でしたが、ご期待に添えられたようなら良かったです<(_ _)>また機会があればよろしくお願い致します! (2021年6月4日 13時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエストにお応えしていただきありがとうございました。今回もとても素晴らしいお話でした。サーレーの夢小説を書いてくれる人は少ないので助かっています。本当にありがとうございました。 (2021年6月4日 7時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - 海月さん» 了解です!遅くなってすみません(>_<;)出来上がった話に問題点があったら遠慮なく仰ってください!少々お時間頂きます<(_ _)> (2021年6月4日 0時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエスト失礼します。サーレーの夢をお願いします。病んでいる感じで書いてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。 (2021年6月1日 22時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - モモまんじゅうさん» 了解です!ありがとうございますm(*_ _)m完成したものに何か気に入らない点などがありましたら、遠慮なく仰ってください! (2021年5月28日 21時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペンシル x他1人 | 作者ホームページ:http://uranaimonsuto
作成日時:2018年12月30日 17時