流れ星のように【承太郎】 ページ31
彼は彗星の如く現れた、私の救世主だった
流れ星のように儚い煌めきを放ち、一瞬の出来事でしかないというのに人の注目を得る。彼の周りには人が多くあり、私なんて全然気にかけられることなんてない
そう思っていた。でも彼は、私を窮地から救ってくれたのだった。私が不良に絡まれている時、わたしの前に立って訳が分からないほど強い力で圧倒的な勝利を収めた
「この道は女一人で通るんもんじゃあねえ。気をつけな」
そう言って家まで送ってくれた彼。口調は怖いし荒っぽいけど、根は優しい人だと知って何だかほっこりした
私はそんな彼に会いたくて、何度か同じ道を通った。また彼に会えるんじゃあないかと思って。しかし会えなかった。姿すら見えなかった
そういえばココ最近彼を見かけない。学校ですら。はあ、憂鬱だ
2ヶ月近くは経っただろうか、彼が学校に姿を見せたのは。何だか表情が引き締まり、前のような尖った雰囲気が無くなったかわりに何人をも寄せ付けないような冷たく洗練されたオーラを放っていた
まるで人が変わったようだった。あんなに会いたかった彼が、一目でも見たかった彼が、こんなにも恐ろしく感じる日が来るとは思わなかった
あの道を通らなくなった。
彼を探さなくなった。
彼への恋慕の感情を忘れてしまった。
長い歳月が経った。あの出来事をすっかり忘却の彼方へ追いやっていた私は、急いでいたので例の道を通った。この道は近道なのだ
すると、声をかけられた
「おい」
「…!!」
「この道は通るもんじゃあねえって前も言っただろうが」
驚いて振り向くと、そこにはあんなに恐れていた彼が立っていた。鋭い眼光に貫かれ、足が動かなくなり、時間が止まるような感覚さえ覚えた
「……気をつけな」
彼が私の恐怖の感情に気づいたのか、それだけ言って背を向けて去っていこうとする。彼を行かせると後悔すると思い、勇気を振り絞って叫んだ
「待ってください!!
あの時はありがとうございました!ずっと、会ってお礼を言いたかった!長い間何も言えなくてごめんなさい!」
彼はこちらを向かずにその言葉を背中で聞いた。恐怖なのか緊張なのか、はたまた忘れていた感情のせいなのか、心臓が妙にうるさかった
「…」
彼はちょっとだけ顔をこちらに向けて柔らかく微笑んだ。今まで誰も一度も見たことがない、鋭さも冷たさもない優しい笑みだった
そのまま彼は去った。私は流れ星のような彼に、心を奪われてしまったのでした
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たつみ(プロフ) - 海月さん» いえいえ、私もサーレー好きなのでリクエスト貰えて嬉しいです、ありがとうございます!海月様の思っていたものと違っていないかどうか不安でしたが、ご期待に添えられたようなら良かったです<(_ _)>また機会があればよろしくお願い致します! (2021年6月4日 13時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエストにお応えしていただきありがとうございました。今回もとても素晴らしいお話でした。サーレーの夢小説を書いてくれる人は少ないので助かっています。本当にありがとうございました。 (2021年6月4日 7時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - 海月さん» 了解です!遅くなってすみません(>_<;)出来上がった話に問題点があったら遠慮なく仰ってください!少々お時間頂きます<(_ _)> (2021年6月4日 0時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - リクエスト失礼します。サーレーの夢をお願いします。病んでいる感じで書いてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。 (2021年6月1日 22時) (レス) id: fb1aebaa24 (このIDを非表示/違反報告)
たつみ(プロフ) - モモまんじゅうさん» 了解です!ありがとうございますm(*_ _)m完成したものに何か気に入らない点などがありましたら、遠慮なく仰ってください! (2021年5月28日 21時) (レス) id: 1c25c6a3e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペンシル x他1人 | 作者ホームページ:http://uranaimonsuto
作成日時:2018年12月30日 17時