ジョジョの短編集

私にだけ優しい彼【ナランチャ】★ ページ27

「今日話しかけられた？」

「道は聞かれたかな」

「ふーん」


最近のナランチャは何か様子が変だ。明るい感じはあるけど私絡みのことになると雰囲気が変わってくる

前なんて急用ができたので慌てて出て行ったら思ったより長い時間がかかり、帰るとナランチャが激怒していた


それから、私は彼には一言いって出かけるか、一緒に出るようにしている


私が知らない男性に話しかけられると、後で「アイツぶっ殺す」とマジな目で言うので本気で止めることもよくあるのだ


「ね、ナランチャ。今日は何が食べたい？」

「んー、ピッツァがいいな！マルガリータにキノコのっけたやつ！」

「ふふ、好きね、ソレ」


普段は好きな物食べて好きなことして、一緒にいても楽しいし明るい無邪気な人なのに、なぜあんなになってしまうのだろう

でも私が気をつけていたら大丈夫なのだから。気にしなくても大丈夫だ



ある日、彼がトイレに行っている間に私は数人に声をかけられた。よくあるお馴染みナンパパターンだ！！ちょっとワクワクしてどんなふうに撃退しようか考えていた。これでも私、ギャングなんだから

そして口を開きかけた時、ナランチャが戻ってきていた。私はしまった、相手が全員病院送りになってしまうかもしれない、と思う

私の制止よりも早く、彼の拳が男の顔にヒットした。周りの男達が軽く悲鳴をあげる


「ナランチャ！やめて！」

「ぶっ殺すぶっ殺すぶっ殺す！！てめー何オレの女に言い寄ってんだこのクソ野郎おお！！！」


そのまま馬乗りになって何発も殴る。既に相手はぐったりしていた。やばい。病院どころでは済まされないかも


「お願い、やめて！」

「離せ！ちくしょおおお！！」


私が彼を羽交い締めにする。いつの間にか他の男達は逃げていた


「ナランチャ！！！」


彼に向かって叫ぶと、彼は肩を跳ねさせて正気に返ったかのように言った


「Aっ、怪我は？オレ心配だよ…」

「私は大丈夫。でもナランチャの手、大丈夫？」

「これくらいへーきだよ、Aのためなら何でもできるからさあ〜」


殴られていた男は何とか歩けるようで、よろよろと逃げていった。ナランチャはそれを冷ややかな目で見つめて「まだ生きてたのかよ」と吐き捨てた

それにゾッとしたが、ナランチャは一気に表情を変えて言った


「さ、行こーぜ！」

「う、うん」


彼のことを恐ろしく思う反面、私には優しい彼を愛しく思う気持ちもあるから、私も彼から離れられないのだった

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