無垢なままで… ページ26
･
｢…………｣
｢今までお世話になりました、音晴さん。｣
辞表を音晴さんの机に、そっと差し出す。その辞表を、音晴さんはジッと見る。
｢何か事情がありそうだね…？｣
｢……いいえ、何も。ただ…帰らないといけなくなったんです。｣
｢実家に？それとも……君を捨てた人の所か。｣
｢…………｣
今度は僕が黙る番だった。
音晴さんは僕がここまで背負ってきた物の事を知っている。だからこそ、勘が働くんだろう。
｢1つ忠告だよ。あそこには戻らない方がいい。それが君のためだ。行ってしまえば、僕は君を守れなく…………｣
｢音晴さん。｣
これ以上、僕の考えを、想いをグラつかせる言葉を聞きたくなくて遮る。
｢オトナのメイレイは、ゼッタイなんです。｣
｢……？｣
｢失礼します。｣
僕は事務所を後にする。紡ちゃんや万理さんの挨拶を無視して、足早に。
誰もいないことを確認して寮に戻り、自室で支度をする。
いなくなる支度を。
カバンに少しの荷物をまとめ、携帯に入っているラビチャをアンインストールした。ラビチャをそのままにしておくと、あの人が何をするか分からない。
携帯をシャツのポケットに仕舞い、玄関に向かった。
｢幸さん………？｣
靴を履き終え扉を開けようとしたら、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえた。声の主は陸くんだとすぐわかった。
｢………｣
｢どうかしたんですか…？ラビチャとか、幸さんのアカウントが急に消えちゃってて…｣
｢………｣
｢！？幸さん！！！｣
ひたすら、ツクモプロダクションに向かって走る。陸くんは僕の名前を呼びながら追いかけてくる。
｢幸さっ、ん……はぁっ、はぁっ……！！！｣
バタン、と、何かが倒れる音がした。反射で振り返ると陸くんが青白い顔で倒れていた。
｢陸く………………｣
助けようとしてしまった。
彼に手を差し伸べる権利なんて、僕には無いのに。
だから手を握りしめて、また走って、走って……
ごめんなさい。
大人になれない僕を、許してください。
いつの間にか、雨が降っていた。
まるで責めるかのように、罵るかのように降り注ぐ雨。
子供はずっと、無垢なままで。
未来永劫、純粋なままで。
いつまでも、イツマデモ………………
『オトナのメイレイはゼッタイだよ？………サチ。』
その言葉に、縛られたままで。
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Rusia(プロフ) - 八乙女楽の作った蕎麦さん» 同志…！本当に好きすぎてユニット曲第2弾とか出ないかなってめっちゃ思ってます(*´ω｀*) (2019年12月25日 7時) (
レス) id: 3d77ac0eef (このIDを非表示/違反報告)
八乙女楽の作った蕎麦 - そばゴラスいいですよね(*´▽｀*) (2019年12月25日 7時) (レス) id: 65acce4bcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rusia | 作成日時：2018年6月23日 8時
