7:戸惑う心 ページ7
神山side
それから俺は何度もAとやり取りを繰り返した。
Aはすごく健気な子で自分の心をしっかり持っとる子やった。
でもそれとは逆に自分の意見を言えず両親の言う事を聞いて大人しくしとる。
俺から見たら操り人形みたいな…そんな子やった。
LINEのやり取りは雑談が多かったり近況を話したりが多かった。
「声を聞かるのは嫌」と言うので電話ではなく文面でのやり取り。
「今日は何をしたんですか？」
「それってどうやるんですか？」
「へぇ〜！神山さんってすごいんですね！！」
こんな感じで返事をくれる。
世間知らずのお嬢様だから色んな話に興味が持てるんだろうな…
そう感じる。
でも…ある時は突然来た。
仕事終わり、一通のLINEがきた。
A助けて…
もう限界……
俺はその文面を見た瞬間体が勝手に動きだして気づいたら屋敷の前にいた。
気づかれたら終わりと思ったから気づかれないように俺は屋敷の中に入り前に教えてくれたAの部屋の近くまで行く。
部屋に入ると泣いていたのか目を赤くした彼女が居た。
「ごめんなさい……
でももう限界なんです…」
神山「なぁ、A…
俺と一緒にどっか遠くで暮らさへんか？」
「神山さんと一緒に居れるんですか？」
神山「そうやで。
俺が一生かけて貴方を守るから。」
そう言って俺は彼女の腕を掴み狂ったように屋敷の中を走った。
屋敷のドアノブに手をかけた後……少し戸惑った…
俺はただこの子を幸せにしてあげたい…
という理由でこの屋敷からどこか連れ出していいものか。
俺が堕ちるところまで堕ちてもいいが……彼女はいつまでも純粋でいて欲しい…
「一緒に暮らそう」とは言ったものの…これは犯罪行為。
今にも引き返そうか正直迷いと戸惑いが混合していた。
すると彼女は俺の手をキュッと握り……
「着いていきます。
神山さんと…一緒に。」
覚悟をつけたような彼女の黒い瞳が俺の目を離さなかった。
そして彼女は自分の薬指に着いているものを抜き捨てた。
彼女に出会って…初めて愛の意味を知った。
これが恋、これが愛…
愛のカタチは人それぞれ。
俺とA……俺たち2人なら…なんにも怖くないな……
俺とAはきっと運命で繋がった。
叶わない愛なんてない。
誰が何を言おうが俺には聞こえない。
Aに対する気持ちは消えないし理屈なんてない。
命をかけてでも……
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作者名：赤い天使 | 作成日時：2023年4月14日 16時
