７ ページ8
優しい声を聞いたメアリーの顔は、みるみるうちに歪んでいき
大きな瞳を細めて涙をこぼし始めた。
抱き締めてくれるもう一人の自分にしがみつきながら、
声を上げて泣いた。
「ごめんね･･･。ごめんね････」
「わぁぁぁぁああああ!!」
「･･･もう･･大丈夫よ。･･･いいのよ･･･苦しまなくて･･･」
「ああぁあぁぁぁぁぁぁああ!!!」
泣き叫ぶメアリーを目の当たりにしたイヴは、そっとアタシの頬に
小さな手で触れてきた。
「どうしたの？」
「･･･ギャリーの薔薇･･メアリーが全部散らせちゃったから･･･」
「･･ふふ、それはね･･･」
「･･･？･･」
「ハイ」
「わぁ･･･」
大きな青い薔薇の花束を見せると、目を大きくして驚いていた。
納得したようにアタシを見上げるイブに、そっと笑いかけながら
イヴの手を取った。
「イヴ。一人にさせちゃってごめんなさいね」
「･･･いいの････」
「でも･･･」
「いいのっ････」
「ちょ、わっ･･!!イヴ?!」
飛びつくように抱きついてきたイヴを
支えながら受け止める。
どうしたのかと思えば、アタシの首元に頭を寄せ
小さくなっていた。
「ちょ、どうしたの･･?!」
「･･･ギャリーが生きていてくれただけで･･･いいの･･･」
「イヴ････」
「･･ギャリー」
「なぁに？」
「･･･怖かったよ･･。ギャリーがいなくて･･･すごくこわかった･･･」
「･･･ごめんなさいね･･」
「･･･コレ、･･･もう大丈夫･･･」
「え？」
「メアリーの絵は･･･、燃やせない。･･･メアリーが泣いてるよ･･･」
「･･･」
「ねぇ、ギャリー」
「ん？」
「メアリーとギャリーと、三人で帰ろう･･」
「･･･そうね。」
アタシたちは立ち上がり、二人のメアリーの前まで行った。
すると、アタシたちの存在に気がついたメアリーが
小さなメアリーと共に立ち上がり、微笑みかけてきた。
「ごめんね。イブ、ギャリー」
「いいのよ」
「･･うん･･･」
「私、元の世界に帰る道、知ってるから案内するね」
「お願いするわ」
･･･四人で出口に向かう間、
小さなメアリーは泣いてばかりで
一度も口を開かなかった。
それを分かったかのようなイヴは、
アタシと繋いでいる反対の手で、メアリーの手を握っていた。
喋らなかった二人にも、絆の形が見えた気がしたわ。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
響(プロフ) - 神崎コノハさん» ありがとうございます!!泣ける話は私も好きなので思わず書きたくなってしまいますｗ (2013年6月7日 7時) (
レス) id: 925ca6d57c (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - アイラブ不動さん» 本当ですか!!嬉しいです!今は更新を少し止めていますけど、すぐに復活しますのでよかったらまた来てください (2013年6月7日 7時) (レス) id: 925ca6d57c (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - 桧佐輝夜＠活動休止予定さん» ご忠告ありがとうございます。今外しました!ご迷惑おかけして申し訳ありません (2013年6月7日 7時) (レス) id: 925ca6d57c (このIDを非表示/違反報告)
桧佐輝夜＠活動休止予定(プロフ) - オリフラ外して下さい (2013年6月6日 18時) (レス) id: d183905fc5 (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - ルナさん» 初めまして!お褒めの言葉ありがとうございます。少し違う更新のほうに夢中になってて更新できていないのですが、いずれ更新再開するつもりです! (2013年4月1日 13時) (レス) id: 925ca6d57c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：響 | 作成日時：2012年8月2日 14時
