Episode.2 ページ3
「1008番、異能の制御テストを始めます。始めなさい。」
『はい。』
あの頃は名前なんてなくて、番号で呼ばれていた
無機質な白い壁、窓に映る擬似天候映像
そして、番号で管理された色とりどりの見た目の子供たち
黒髪、銀髪、金髪、青眼、赤眼、、
容姿はバラバラ、共通点は女の子であること
全員が異能を持っていること
今ならわかる
あそこは実験場だった
異能を持つ子を作り出し、育て
優れた子を作り出すための
毎日行われる厳しい訓練
異能を発現させ、それを制御できるか
そして行われるテスト
合格出来なかった子はどこかへ連れていかれて
二度と帰って来なかった
幼いながらに理解出来た
あの子は捨てられたんだと
私のと同い年の子は100人いたけど
結局8歳まで生き残ったのは
私を含め2人しかいなかった
8歳になって大きく環境が変わった
1つは、実験場から連れ出されてお屋敷に連れてこられた
実験場は地下だったらしく、初めて見た空がとても綺麗で感動したことを今でも覚えている
もう1つは、家族というものができた
その人は黒鳶色の髪に紫の瞳をしていた
ﾘｭ「あぁ、可愛い可愛い娘たち。私はあなた達の母親、リューゲよ。これからのあなたはユリシア、そこのあなたはユリ。そしてそこにいるのがあなた達の姉になるランとユズよ。あぁ、可愛い可愛い、優秀な私の娘達、みんなと仲良くしましょうね。」
ランは歳が9つ上で、銀髪に赤眼
ユズが6つ上で、赤髪に黒眼
そして同い年のユリは、金髪に紫眼だった
そう、姉達は私と一緒
みんな実験体として生まれ
優秀と認められ連れてこられた
寄せ集めのような家族だった
それからはそれまでが嘘のように穏やかな日々だった
厳しい訓練はなくなって、代わりに授業はあったけど
一般教養を学ぶだけで
授業の時間以外はユリと沢山遊んだ
捨てられる心配もなくなって
なんの確証もないのに与えられた幸せを勝手に永遠と勘違いして
こんな幸せがずっと続くと思ってた
ずっと
思ってたんだ…
続く (更新停止中)
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作者名：りぷたす | 作成日時：2023年3月13日 0時
