堕ちた天使の存在証明 (ページ1)

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Episode.0 ページ1

共和暦358年。星歴2139年。

　共和国の東の隣国にして大陸北部の大国ギアーデ帝国は、周辺諸国全てに宣戦を布告。世界初となる完全自律無人戦闘機〈レギオン〉部隊による侵攻を開始した。

　軍事大国ギアーデの圧倒的武力を前に、共和国正規軍はわずか半月で壊滅。

　絶望的な戦況下で共和国政府は2つの決断を下す。

　1つは85行政区内への、全共和国市民の避難。

　もう1つが、大統領令6609号。戦時特別治安維持法。

　共和国内に居住する有色種を帝国に与する適性市民と認定。市民権を剥奪し、監視対象者として85区外の隔離する法律である。

　2年後、共和国の全技術を結集してなお、共和国製無人機は実戦に耐えるレベルに達しなかった。

　けれど劣等たる帝国に造り得た無人機を、優良種たる白系種が造れぬことなどあってならなかった。

”エイティシックスは人間では無いのだから、奴らを乗せればそれは有人機ではなく無人機だ。″

　共和国工廠自立式無人戦闘機械〈ジャガーノート〉。

　人的損害を完全に零にする先進的かつ人道的な兵器として絶賛された、エイティシックスの操縦士を情報処理装置と定義して搭載した、″有人搭乗式″の無人機である。