【Fate/GrandOrder】北米聖杯戦争Ⅱ【派生作品】 (ページ45)

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83：もうひとつの陣営ページ45

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　互いを認め合い、全力を出し切った正真正銘の真剣勝負。勝ちたいのは無論、けれど、そのような相手に巡り合えたことこそが幸運だったのかもしれない。

そうひとりほくそ笑むアレックスであるわけだが、突如、覚えた鋭く…だが殺意とはどうにも表現できない不気味な感覚を覚え、身を翻す。

『へぇ、結構やるんだ』

そんなどこか温度の感じない笑みをみせる相手は、一体どこから現れたのか。
気配はまるで感じず、ただ覚えたのは死の恐怖。

確実に迫る死期を予感したアレックスの本能によるものか、体が反射的に反応したことが功を制したと言えるのだろう。

ゆっくりと先程まで自身がいたであろう居場所を目にすればぽっかりと底が見えないほどの深い穴が空いているのだから。

この目前にたつ存在は只者ではない。

だが、それ以上にアレックスは動揺していた。なぜなら、彼はその存在を知っていたからだ。

「マスター！！気を抜いたらだめだ。あれは…っ」

『ちょっと、余計なこと言わないでよ』

「っ、ぐふっ…な、にするのさ…」

『今のは貴方が悪いんじゃあないの？藪から棒に"無粋なこと"言おうとしたんだから』

そう笑ってみせる笑顔に温度などない。
目前に迫る相対したこともない歴然な差は、その１つ１つの動きからでも十分に感じ取れてしまう。

いくら幼少期の姿といえど、あの征服王が感じ取ることもできず今その心の臓を手に握られているのだから声がでなくとも誰も責められないだろう。

『貴方は最初から警戒してたのよね。あの英雄王(チビ)もそうだけど察しがいいというか…まあ、あっちの場合は千里眼(あれ)があるのだから当然なのかもしれないけどー？だとしても、苛つくわよね。半神風情に過ぎたものだわ。先見の能力なんて』

「へぇ…随分とそれは僕は君に買われていたんだね…そのついでにその僕の中に突っ込んだ手を離してくれると…嬉しいのだけど」

『ふふ、馬鹿ね。そんなことするわけないでしょ？……じゃ、ばいばーい？』

にこりと微笑えまれると同時に成す術もなく、自身のサーヴァントを失うこととなるアレックス。
光と共に消える直前に、確かに通わせた自身のサーヴァントとの視線にただただ絶望することしかできない…所謂心を折られたアレックスであるわけだが、最後に目にしたアレキサンダーの紡ぐ言葉を目にし、再び彼の闘志に火がつくこととなるのだった。