56：聖杯戦争のなんたるか ページ16
場所を移し、お言葉に甘えライダー陣営へとお邪魔する樹たち。
到着してから出された飲み物はミネラルウォーターとなんとも彼らしい飲み物がでてきたわけだが。
それはさておき、聖杯戦争のなんたるかを解説してくれるアレキサンダーの話しを聞く一同。
だいたいの概要は理解できたものの、やはりとんでもないことに巻き込まれていたことには間違いはないらしい。
「とはいっても、君たちはキャスター以外とはもう会ったんだよね」
「ん。え？いや、そうなのか…？」
「そっか。あの人たち皆、マスターだったのか。道理で」
いやなにも理解できないんだがという顔で話しを聞いていればアレキサンダーの計らいだろう。各陣営とマスターに関する知識を教えてくれるのだから助かる。
だが、聖杯戦争のなんたるかを聞いた今、それを教えてくれる理由がわからなかった。
「まさかミラさんとシェーンさんまでマスターだったなんてな…いやそれより、だとしたらどうして教えてくれるんだ。今の説明だと俺たちとアレックスさんたちは聖杯を取り合う敵同士ってことになるけど…俺たちが知らない方がいろいろうまく働くと思うんだけど」
「確かに樹くんの言う通りだ。普段の聖杯戦争じゃ考えられない。結託したりするのなら話しは別だけどね。だけど、今回の聖杯戦争はどこか様子がおかしいんだよ。なにがおかしいかわかるかな？」
ベッドに腰掛け手を組めばにこりと笑ってみせる。
そんなアレキサンダーを前に、ふむと考える樹。確か聖杯戦争の参加クラスはセイバー、アーチャー、ランサー、キャスター、ライダー、アサシン、バーサーカーの全７クラス。
「……けど、マスターの人数は８人だ」
「そうそう。それに加えて今、同時に起こってる事件があってさ。バーサーカー陣営とアサシンのサーヴァントはそれに巻き込まれた。これが何を意味するかわかる？」
「えっ嘘だろ。もうすでに…というか、本当に死んじゃったのか…信じられない。だって、ついこの前会って話してそれでっ」
「樹。落ち着いて？」
「兄貴は平気なのかよ！！マルガレータさんも、ジェシカさんも、バニヤンもみんな殺されたんだぞ…英霊だって人間なんだ、痛みだってある。俺はそんな簡単に割り切れないよ」
「……良いか悪いかの話しじゃないんだと思う。たぶんそれ以前の話しで、これはきっと人の生き死にが普通に左右する。むしろそれが当然の世界なんじゃないかな」
なんだよ、それ。
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