rain111 ページ35
視点：碓氷A
Re-riseが世に出て間もなく、事務所で聴かせてもらったのが最初だった。裏のブラスバンドの人たちも楽しそうで、さすがRe:valeだって思わせてくれるそんな楽曲で私も大好きな曲だ。
「AちゃんはRe:valeの曲の中ではなにが一番好きなの？」
「ええっ、一番ですか？！うーん、星屑マジック…いやでもNO DOUBTも捨てがたい…ああっ、でも奇跡も好きです…１つに絞らなきゃだめですか？」
考えれば考えるほど迷宮入りして答えがでるはずもなく、項垂れる。
だって、どれも好きなんだもん。
「…っ、それユキの奴が聞いたら喜ぶと思うよ。今度会った時にでも言ってあげて？」
「む、無理ですよ！そんなこと、恥ずかしくて死んじゃいますっ」
「はは、じゃあやめとこうか。なんかどや顔決めてるところ想像するとむかつくし。笑」
「ふふ、本当仲良しですよね」
にこりと微笑めば、"そんなことないよ"と笑ってみせる万理さんはどこか幸せそうだ。
今と昔のRe:vale…モモさんの声がでなくなってしまったり、行き違ったり、本当にいろいろなことがあったみたいだけど、今はそれを乗り越えてここに立ってるんだな。なんて。
「万理さんはやっぱり、世界一イケメンです！」
近頃、週刊誌で目にするRe:valeを傷つける記事。
一体、誰がこんなひどいことをするんだろう。
「ありがとう。Aちゃんも世界一かわいいよ」
「あはは、万理さんにそんなこと言われちゃったら照れちゃいますよ」
ぎゅっと抱き着けば、いつだって温かい。
「明日学校だし、そろそろ寝ようか」
「そうですね、眠くなってきたし…」
くわぁとあくびをひとつすれば、こしこしと目をこする。
今日はなんだかいろいろありすぎて、疲れちゃったのかもしれない。
そんなことを考えながら、ふたりでベッドに入れば向かい合うように…なんて、以前の私なら恥ずかしさで死んでしまうようなことだけど、習慣というのは本当にすごい。
今じゃ万理さんが隣にいない方が落ち着かないくらいになってしまってる自分がいるのだ。
「ねえ、万理さん？今度、Re:valeの曲歌って？」
「俺が？ふふ、いいよ。そのかわり、Aちゃんもいっしょに歌ってくれる？」
「もちろん！あ、私がモモちゃんのパートですよ！」
「ええっ…ということは俺がユキのパート……やっぱり交換しない？」
「お断りします♪」
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