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letter*14 ページ16

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 海軍司令部の朝は早い。


そしてそれは彼の男も例外でなく、朝の習慣を終え自室で嗜好品を嗜む。

いつも通りの朝、いつもどおりの習慣。


けれど、その朝は唯一、1つだけいつもの日常と異なっていた。



「ブーゲンビリア大佐、失礼致しますっ」

「入れ」


「本日のご予定を、それから」

「どうした」


手渡された行程に目を通し、部下の反応を待てど少し時を要す。
どうしてか、理由などわからない。

だが不思議と焦燥感を覚えたのだ。言葉では説明などつかない。この焦りはなんだ。



「それが差出人不明の手紙が一通、大佐宛に…なにかの悪戯かもしれません」

「見せろ」


普段では相手にもしないような一通の手紙。
その手紙を手にしたのは、紫を印象づけたよく知る者があしらわれたそれを目にしたためだった。

その切手はある特定の土地でしか発行されないもの。


つまり、そこからの手紙となれば差出人は自ずと限定される。


だが不可思議だ。
この確かな違和感はなんだ。


「……日付の印字がないな」


封緘はC.H郵便社のもの。
けれどそこには本来の手紙にあるべきものがなかった。

つまり、この手紙はこう結論付けられる。


「そういえば、先程、司令部へと届けられたと伺いましたが。大佐…いかがされましたか」

「それは、男か?それとも」


「いえ。女性であったと伺っております」

「なん、だと」



もし、朝のこの特定の時刻に時間ができることを知っての行為だったとしたら。
それを知る者は少ない。

大佐付きの補佐官もしくは直属の部下に限られる。

その中でも女性といえば。



「大佐?」

「…………阿呆が」


「どちらの方からのものかわかったのでありますか」

「知らん。こんな女は……知らん」



何故、こんなものを送り付けた。
お前はあのときあんなにもあっさりと俺の前から姿を消したというのに。

手が震える。
これは動揺だ。今、どうしようもない力で揺さぶられている。



何度願っただろうか。何度諦め、何度自分を律し続けてきたと思っている。



「行ってください。大佐。」

「……」


「そんなにも動揺した大佐はこの任に就き、初めて目に致しました」

「誰が動揺など」


「……本日。最高司令官殿の隊の者が何名かとある女性の護衛の任についております」


「行先はドロッセル王国だったかと」



"人はなかなか素直になれないものだな"



「チッ…少し席を外す」

「承知致しました」

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(プロフ) - 華蓮さん» 初めまして。ご愛読頂きありがとうございます。こちらこそ素敵なお言葉をいただいてしまい頭が上がりません。サイドストーリーもぼちぼちあげようかと考えておりますので暖かく見守っていただけましたら幸いです。コメントいただきありがとうございました! (2020年10月13日 12時) (レス) id: 83bbd53189 (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 初めまして。連載お疲れ様でした。毎回、更新を首を長くして待っていました。もし、サイドストーリーをお書きになるのでしたら、楽しみにしています。本当に素敵で、大好きな物語でした。ありがとうございました。 (2020年10月12日 21時) (レス) id: d2c438ab67 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - kさん» 初めまして。こちらこそ本当に本当にありがとうございます。こちらこそ本当に嬉しくて言葉ではいい表せないくらいに幸せだと感じています。もう時効だと思うんです。だからやっぱり彼にも幸せになってもらいたいなって。ありがとうございます。 (2020年10月11日 10時) (レス) id: 83bbd53189 (このIDを非表示/違反報告)
k - 本当にありがとうございます…どうしても読みたかったディートフリートの話を読ませていただけることが嬉しくて溜まりません。綺麗で素敵な言葉の綴り方が本当に大好きです。この場では感情が収まりきりません。本当に大好きです。更新心から楽しみにしております。 (2020年10月11日 9時) (レス) id: 5205b065eb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - Rioさん» はじめまして。素敵なご感想ありがとうございます。とても嬉しいです。完全なる趣味小説でして誰にも見向きもされないかもなと筆をとったので本当に心強いです。ディートフリートは誤解されがちですから。少しでも彼を救えたらという思いで頑張らせていただきますね。 (2020年10月10日 8時) (レス) id: ab18fde111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし。  
作成日時:2020年10月8日 20時

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