【短編集】お気楽主が今日も手強い【派生作品】 (ページ7)

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04：神様仏様安定様ページ7

視点：大和守安定

　この前の本丸調査の調査書と戦闘員としての報告書の用紙、それに資料…と揃え静稀の待つデスクへと向かえば分かってはいたけど…。

｢チッ…逃げたか｣

もぬけの殻となった空間に舌打ちをすれば、どこに逃げたか思考するこの流れが今となっては当たり前になってきたわけだけど…これがまたなかなかどうして見つけるのが難しい。

本来、仕事を前に逃亡するような存在自体が少ないからか対策という対策もないという中で、やれることと言えば霊力を辿ることだけど…

｢気配がない…ていうことは、またどこかの本丸か…はぁぁ。気配が途切れるから1番面倒なんだよな…｣

見つけた日にはどうしてやろうか、と口角が上がらないよう努めれば、袖口からビラっとメモ帳を取り出し、視線を巡らす。さて、どこにいるか当たりをつけなきゃね。

だけど、そんなことをしていると不意に声をかけられ、にこりと余所行きの笑顔をつくる。

｢大和守くん、少しいいか？｣

｢はい、いかがされましたか？｣

｢この前の件なんだけど、深山くんがその…許可なく独断でブラック本丸に乗り込んだ話し…やっぱり問題になっているようでね…｣

僕はコイツら…政府の人間が嫌いだ。対策課の人間は別として…こうしてたまに現れる政府の人間は見るだけで嫌気がさす。

お前らはいつも口だけで、"あの日の僕"のことだって助けてくれなかったじゃないか。

「そうですか。主がご迷惑をおかけしているようで申し訳ありません」

と、表面ばかりの笑顔を貼り付ければ「おかけしているようで…って君ね」なんて、こっちがちょっと下にでればこれだ。

「ですが、今回の件。僕の主でなければ解決できなかったこともまた事実…それに、緊急性を考えても判断は妥当だったかと。実際、"あの審神者"は処分せずに済んだわけですし、僕は審神者(アレ)がどうなろうとどうでもいいけど、君たちからしたら大切な人材でしょ？」

「そ、それは…」

「ふふ、ごめんね。ちょっと意地悪しすぎちゃったかな……けどさ、……静稀になにかしてみろ？そのときは僕が君の首を落としてあげる」

"では先を急ぎますので、失礼します"と、何事もなかったかのように表面ばかりの笑顔を貼り付ければ、主の元へと向かう。

「無駄に時間とられた。早く見つけないと」

なんて、大体当たりはついてるんだけどね。

首洗って待っててよ、主。